
コワイモノ - 楳図かずお
コワイモノ…幽霊、不思議体験、あぶない事件。夏と言えば恐怖特集が組まれるが、怖いものって心霊体験とは違う所にも、あるような気がする。
恐怖といえばこの方!
漫画界の大巨匠、楳図かずお氏に「コワイモノ」を聞いてみた。
6か国語の勉強について
- f-dex(以下F):ここ数年、やられているという外国語のお勉強の方はどうですか?
- 楳図かずお氏(以下U):ええ、ずっと続けてて、ラジオはテープに録ってます。
- F:外人さんのいるバーとかで実践したりするのですか。
- U:実践はまだ。えっ、バー!?バーなんて行った事ないですよ!(笑)
- F:お酒はのまれないのですか?
- U:おいしいごはんの時に少しのみます。
こわい…!!
-

奈良県五條市出身。
「洗礼」「漂流教室」「まことちゃん」「私は真悟」等、数々の名作を発表してきた日本漫画界の鬼才。F:以前…トイレでの恐怖体験があるとか?
- U:あれは、こわかった!よく聞いてくれました!トイレについては是非聞いてもらいたかったんです~(後程、事実がわかる事に)いつもの通り、用をすませてレバーをギッとやりましたら、普通は、ふぉふぉふぉーんって中にはいっていくと思うでしょう?それが逆にブオーって戻ってきたんですよ!どんどんあがってきて、次は風呂の中からも!「ヤバイ!このままでは出てくるぞ!オソロシイモノガ!」って慌てて雑巾とかで防波堤を作ったんです。それからバケツでくんでドアの溝に捨ててったんですよ。ウチの隣の部屋の人もソファとかベチョベチョになったのを出してるし。下でも大変な事に!原因は、水道管の中のオモチャ。ウチの隣のお子さんがオモチャ流していたんですね。下水管も手抜き工事でおかしくて、両方でダメだったんですよ~。
- F:ひぃぃ~!あ、あと当時、鍵で、色々あったとか。
- U:今は、もう絶対なくさないようにホラ!(体にくっついている、鍵の数々)
- F:おお!以前、家に入られそうになった事もあるとか。
- U:そう!その時、朝方眠りこけていたんですよ。目が覚めたら入り口のドアが、ガッチャ・・・って開くんですよ~!
- F:こわいぃ!!
- U:こわいでしょ~!僕は当時鍵をよくなくしてて、開ける方法として、外の共同炊事場にある包丁を鍵穴に入れてたんですよ。で、その時ハッと起き上がったら、ガチャッと音がして、デデデデッと走っていく音がしました…
- F:デデデデ…ですか!
- U:デデデデっ。で、開けるとそこに包丁が落ちてましたもんね。
- F:きゃ~!
U:それから高田馬場に移ってから、ちょうど「漂流教室」描いてる時だったんですけど、たまには缶詰めになってみようと思って、ホテルへ行って、終わって仕事場に戻ってきたら刑事さんが2人来て「実は、あなたのいた部屋の下に韓国の大統領、金大中さんがいたんです」と言うの。そのとき金大中さんは拉致されちゃったんだけど、僕が部屋を出た時が拉致される直前だったようで「あなたが部屋を出たときに、金大中氏とすれ違っているハズなんです」と言う。何か覚えてますか、と言われたんだけども、何も覚えてなくて。それと後でわかった事なんですけどマンションに入るとき紹介して下さった不動産屋さんが金大中さんの面倒を見ていた方だったらしいのですよ。- F:わーなんか繋がってますねぇ!
- U:繋がってますでしょー…って、どこも繋がってないですよ!(笑)
- F:なんかちょっと不思議でこわい話ですねぇ
- U:あと僕は恐い所には近付かないようにしてるんです。霊とかはあまり信じてないんだけど、絶対そういう所へは行かないですね。
- F:前に吉祥寺で住んでらしたマンションで怖い話があったそうですが…
- U:そうなんですよ~。不思議な事にマンションによくヘアピンが落ちていたんです。ある時はカバンの中に入っていたり。女っ気ないしそんな憶えはないのに。
- F:ひぇ~!!
- U:僕の隣に住んでいた女の人は「うちは指輪がまがるんです。」って言ってました。その人とは今でも時々会うんですが、最近は出ないみたいで「楳図さんが持っていったんじゃない?」って。でも確かに、引っ越してからもアレ?と思うような所にヘアピンがあったり…。
- F:う~ん、不思議ですね~。
原稿がなくなる恐怖!!
F:こわい話と言えば、家や展覧会で保存していた作品がなくなるという事があるとか…?- U:こわいですよー。この間の展覧会でも展示中「そろそろ厳重に警戒して下さいね」ってある人に注意したんですよ。そしたら、次の日に「盗まれました」って。
- F:えー!
- U:それが額縁ごと。警備は3人いたし受付もいたし。…わかんないですよね~。それから去年の展覧会の時にも写真のアルバムごとなくなって。
- F:写真ってプライベートな?
- U:そう。開催途中で「前回、こういうことがあったので絶対なくさないで下さい」って言ったのに、ケースで飾っていた写真、後半近くでなくなってて。終わってから「輸送中になくなった」って言うんだけども。
- F:そんな~
- U:ねーオカシイでしょう。作曲した楽譜もなくなっちゃっていて。
- F:「闇のアルバム」のですか?
- U:ううん、発表してないやつ。そうそう、その中の「サンダラマンダラ愛の呪文」っていうやつに『アイアイヤイヤイヤ~』っていうところがあるんですけどもある曲のアレにソックリなんですよ!
- F:ええっ、じゃあ先生が最初だったんですか!
- U:はい~(笑)歌はクワトロで約10年前にやってるんですけど。
- F:犯人は、つ○くサンかも!?(笑)
U:とにかく一般の人ではどう考えてもオカシイんですよね…アッ、ごめん!(ここで席を立ち、英会話ラジオの録音セットに行く楳図氏。戻ってきて)バッチリ!…で、原稿ですね。部屋の中にあったのもなくなっちゃって。キレイな原画ばっかり集めて隣の部屋に置いておいたんですよ。その部屋はお客さんもほとんど誰も行かないとこなのに、ある時見たら袋ごとなくなってて。- F:イヤな感じ…。
- U:みんな怪しく思っちゃって。部屋に訪ねて来るファンらしき人とかも怖くなっちゃった。「恵まれない子供の為にサインをください」って来た人もいました。
- F:変なの。
- U:そうでしょう。『半魚人』の生原稿と『老人』ていう色のついた作品なんか、明らかに取られたんじゃないかって疑う事件があったり…なんかもうショックですよ。だからもう、原画の持ち出しっていうのはやらないことにしました。昔の写真がないもんだからTVの「波乱万丈」の出演の話も受けられないんですもん。
- F:う~ん自分でみて楽しんでいるのかな。原稿ってどうなってるんでしょうか?
- U:出回ってるんですよ、原画が売られているらしいです。
- F:そうだ、ネットのオークションで原画にサインしているものがでてました。
- U:え?原画にサインなんてしないけどなぁ。色紙だったらあるけど。
- F:ほんとヒドイ!そういう人達に何か一言どうぞっ!
- U:そんなことで楽しみとか生活にしてるんなら報いがきますよ。それほど世の中甘くない。やっぱり僕はね、生き方って公平にできていて、上がったら下がる。取ったら取られる。だと思うんです。だから僕も取られた分どこかで何か戻って来ると思っています。せめてですけど。
- F:ほんとですよね。
歌を出します!!
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8月にNHKみんなのうた「むかしトイレがこわかった」をリリース!思わず口ずさみたくなるようなポップなリズム!f-dexおすすめです!U:最初にトイレの話を聞いていただいて、それが僕はとても縁起がイイナと思ったの。何故かと言うと、今度NHKの「みんなのうた」で出す新曲がトイレに関するものなんですよ。なので最初の質問は縁起がよかったです~。
- F:わ~!いつ聞けるのですか?
- U:もう録り終わりまして8月に放送ですね。
- F:それは作詞作曲?
- U:あと歌も僕です。えへへ、内心は大ブレイクしたのを色々想像したりして…
- F:紅白に出ちゃうとか!
- U:な、なになに?紅白!?わぁっ、口が裂けても言っちゃいけないことをーっ言ってしまったーっ。そうっ、それ考えちゃったりしますけど!わぁー!
- F:(爆笑)あ、本屋さんにいったら、先生の作品は即効売れてしまうのだとか。作品でブームがきて、歌でブームがきて、大ブレイクしちゃうかも!
- U:(笑)そして富士山から噴火するように東京の上でバーン!と(笑)なんだろなんだろって見てみたら、実は、楳図かずおが大爆発していた!!ギャッ!とか(一同爆笑)
通報される…
- F:お散歩していて通報された事があるとか?
- U:(笑)そういうのはよくあるんですよ。散歩してると、おまわりさんがダーッときて、僕をみて「ああ…なんだ、楳図さん」ってUターンしていくんですよ。で、「あ、誰か通報したな」と(笑)あと田舎の山道を歩いてた時、銀色のコートに赤い鞄ナナメにぶらさげて歩いてたんですね…
- F:ぎゃっ、こわい
- U:なに~こわい?(笑)こわいって言いませんでしたかぁっ!?
- F:あ、いやカッコいい~(汗)
- U:その時農家のお爺さんが、いま通った赤い鞄下げた男が・・・って話してるのが聞こえたんですよ。そしたらパトカーがウィウィーンって!「火の用心して下さい」ってアナウンスしてるんですよ~もう、田舎の人達はやりすぎです!
- F:(笑)楳図さんは、派手すぎですーっ!
機械と楳図氏
F:コンピュータは?- U:う~ん何だか相性が悪いんですよねー。
- F:「わたしは真悟」はコンピュータの世界ですよね
- U:あれは頭の中の世界ですから。それが現実になると関わり合いたくないっていうか(笑)。NHKの曲も自分で作ろうかとやってたんですけど、面倒臭くなっちゃってMacもただの箱に・・・
- F:じゃあ、インターネットとかも全然?
- U:全然!興味もないです。
- F:繋がる感覚ってどうですか?
- U:うーん、どうなんでしょう。真悟の中では繋がりまくるんですけどね。あれは世の中の流れが繋がるということで、コンピューターそのものという意味ではないんですね~。
- F:世の中の流れ。楳図さんの作品は未来が見えているような。
- U:そんなことは(笑)でも、これからどんな風になるかと言うと「14歳」風になっていくと思うんですね。「14歳」の中で、人間がモノになったり、実際にいない生物を作ったり…あの方向に行くだろうなと。あとゴミ。これは真悟の時から気になってゴミがいっぱい出てくるんですけど。あれはいずれ地面の奥深く、溶岩に混ぜちゃうのでは、と思っていますね。
- F:お台場とかの景色って「14歳」の街の景色のような。
U:「14歳」の電車は、内とホームの外にドアが二つになってて、お台場の電車と同じなんですね。- F:すごい!やっぱり未来の物がわかる!?
- U:なにげなく描いちゃうんですね。「14歳」の時はやたらスケールでっかく描いちゃったけど、そのうち、ゾウでもライオンでもないものを作っちゃったりする時がくるかも。それとか、有名人を作っちゃったり。美空ひばりとか。
- F:ちょっと嬉しいかも…
- U:あは、そうですね。だから、頭から否定しちゃうこともあるけど今言ったみたいに「嬉しい」「オモシロイ」とかあるんですよ。そういう技術を手にしたら、それをどのように間違いなく使うか。ひとつの宝物ですからね。
- F:楳図さんの漫画は本当に『先がわかる!』と感じます。
- U:今までのところを振り返ってみる、わりと時代を読み取っているかな?っていうのはありますけどね。『最初の一歩』の方向がまちがってないと、ズルズルと当たっちゃうんです。ですから、やはり『最初の一歩』がどうなのか?という所の直感力はいりますよね。で、その中で発展させて行くと、そのうち現実に起きてしまうという事になるので…
- F:ある意味ちょっとコワイですよね。
- U:いま現実と非現実の区別かつかなくて犯罪がおこるといわれていますが、科学の進歩っていうのは非現実が現実を超えるのが未来の姿。現実に起きてないことを描いてると、現実に近づくこともあるわけです。
目的意識をもたないと破滅する!
F:夏は「恐怖」の取材が増えて来るのではないですか?- U:うーん1999年はノストラダムス効果で忙しかったけど…
- F:ノストラダムス。
- U:あの1999年は何かあった方が良かったかも。
- F:何もなかったですよね。
- U:あれはノストラダムスが言っているけど、どこかで皆期待してたところだと思うんですよ。誰かが仕掛けるとかではなく、何かが起れば先程言ったほうな『目的』というのが見えてきて例えば『復興する』というのが簡単な目的として使いやすいんですよね。だけどなかったから、ケガがなかっただけ病気になっちゃってるような気がして…。すごく情けない事なんだけど、歴史のくり返しって「積んだら壊す。壊したら積む」で大きな志はなくても、それは目的を持ってやってこれた訳で、乗り越えちゃったら、本当の目的を見つけないと、今後の生き方の問題にすごく関わってくるような気はしますよね。もちろん、去年何もなくて良かったとは思いますけど、ある意味そんな危機状態である、というのは間違いないですよね。
精神進化とガングロ論!?
U:生物は進化していくものだから退化してもしかたない。ついにめっけたぞ!と、できなかったことを見つけて、進化しないといけない。その時にどんなふうに進化するか。今はどっちに進化するか土壇場にきているのでは。肉体的ではなく精神進化をしちゃう。本能的な事でひとつ言えることは、人間は美しくなりたいという本能がある。美しくなければいけないので、ブスは抹殺するという…- F:えーっ!!!
- U:ブスの遺伝子は消し去っていこうという流れがあると思うんですよ。芸術とかでもそうですけど
- F:じゃ、じゃあ…タマミちゃんはダメなんですかぁぁ(泣)
- U:(笑)タマミちゃんはダメなんですねー。というか、どのように美しくなっていくか。今ってスゴイお化粧するじゃないですか。誰だか分からない。個性がない。それが美しいって問題とゴチャマゼになっているんですよ。美しさの基準が1つになってしまうことはよくない。
- F:美しさ…ガングロはどうですか?
- U:ガングロですかぁ、あれは、顔(ガン)がグロですよっ!(一同爆笑)不自然ですよね。白って自分が見えちゃう色だから見えないように黒で塗りつぶしているんでは。自己否定ですよね。
- F:なるほど~楳図さんの描く女性はキレイですよね。
- U:一回だけアラタマミチヨさんを参考にしたことがありますが、基本的に誰かを参考にして描いたりはしませんね。キレイな女性をかく時は同じになりがちなので気を付けてます。
- F:サトル(わたしは真悟)のお母さんが、外人さんみたいにキレイですよね。工場にいるのが違和感あるくらい。
- U:なるべくキレイにいきたいんです。生活臭漂いそうなところにいる人が、違う感じだとそのキャラクターにかわいそうだなとか、違う生き方があるだろう、とか思っちゃうじゃないですか。
- F:はい~。彼女が水商売を始めた時は、なんかホッとしました。
- U:ホッとしました?わはは(笑)そういう感情を呼び起こせたらいいなと…例えば、映画で「へび女」の役者を決める時、ヘビ顔な人か、清純な人にやらせるのが面白いか、2つに別れると思うんですよね。僕だったらヘビ顔の人にやってもらいますね。
- F:え?清純かと思った!
- U:ね、そう思うでしょう。清純な人は、清純なところを地でいってヘビなところで演技しないといけないんですね。でも、ヘビな人はヘビな所を思いきり怖くできる。後の怖さが百倍にも出来るんですよ。
- F:ナルホド!!
キャラにはいるところが演劇的
- F:楳図さんはキャラクターに入り込んでお話を作っていくとか。「わたしは真悟」の場合、機械ですよね。
- U:はい。当時は、真悟と平行してモノを考えていたのでなかなか進まなかったですね。おかげであれを描いてから、モノゴトをすごく考えて発言するようになりましたよ。
- F:そういえば劇団ひまわりにいた事があるとか。だから、「入る」と言うのも演劇的なのかも。
- U:入りますよ~。前に「わたしは青空」って芝居をやったんですけど、役者より先に役に入り込んでたみたいです。漫画描いてる状態は芝居やってるのと同じなのかも。ストーリー考えてるときに、キャラには一通り入って。その時、ああ面白かった。って自分で思えばだいたい面白いのができます。それができないと長くもたないんです。
料理の仕事と健康
- U:そうだ料理の仕事がきたんです。
- F:えっ、料理!
- U:そうなんですよ。郵便局の年4回のパンフなんですけど…きっかけは去年、NHKの「男の食材」って番組。はじめは「カブの酢漬けとフレンチトースト」作りました。で、2回目はイタリア風海の幸ピラフを。自分流にするため、お味噌を使った所がミソなんです。
- F:ミソですね!(笑)
- U:カボチャのポタージュとかもやりましたよ。
- F:スゴイ~。わ、私できない…!
- U:レストランの料理を研究してマネしてみたりしてます。えいえい!これだー!って(笑)
- F:味覚が鋭いのですね!
たばこプッチン!!
F:タバコも吸わないんですよね?- U:はい。喫茶店では吸っていない人の所にサササーッと逃げます。大変ですよー。道歩いててもタバコ持って歩いてる人が多いんですもん。もう、ハサミ持って行って、ちょん切ってやろうかな~って思っちゃいますよ(笑)「たばこプッチン!たばこプッチン!」(一同爆笑)
- F:禁煙席を探すのも大変。タバコ健康に良くないですよね~!
- U:健康といえば漫画を休業するキッカケが、道で倒れちゃった事で。
- F:えー!
- U:病院行って検査したんですけど悪い所なくって。でも手は痛いし…いろいろ溜まっちゃったんでしょうね。
- F:そうなんでしょうね…。検査はそれから行ってますか?
- U:無理な事してないから、もう大丈夫。検査はたいしていってないなー
- F:えーっ、だめですよ楳図さんは国家遺産なんですから~!!
2000.6.30 楳図プロダクションにて
プロフィール
楳図かずお(うめず かずお)。1936年9月3日和歌山県高野山に生まれ、奈良県で育った。幼児期から絵を描くことに非凡な才能を示し、小学4年のとき漫画を描き始めた。「洗礼」「漂流教室」「まことちゃん」「私は真悟」等、数々の名作を発表してきた日本漫画界の鬼才。
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