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特集

ヒーロー - 大貫卓也

Vol. 004 特集

自分のヒーローってどんな感じ? 強くて、逞しくて、優しい…? ヒーローの姿も人によって様々。大人のヒーローはちょっとドジだったりして共感を覚えるタイプが受けるのかも。そんな現代の大人のヒーロー「ペプシマン」を生んだ、大貫卓也氏に構想や仕事について聞いてみた。

「原宿」な「感じ」のモノ

  • vol004-feature01.jpgf-dex(以下F):ラフォーレ原宿の広告でインコや熱帯魚、犬など動物がでていますね。何か意味ありげなのですが。
  • 大貫(以下O):う~ん、別にないんだけどなぁ…いやぁその…何ていうか「原宿な感じ」というのを出しただけですけどね。カラフルな。その原宿な感じと、あとはアレ、ちっちゃく題名とか書いてたんですよね。えーっと…。はじっこにまずタイトルが入ってて…「TOO MUCH HARAJUKU」って。
  • F:原宿にMUCHした?
  • O:ちがう、ちがう。行き過ぎな「TOO MUCH」なモノ。そういう「TOO MUCH」な事です。ある種、行き過ぎきってしまったピークな状態の原宿という感じを、たまたま熱帯魚でやったんですけど。息苦しい感じでね。そこにラフォーレとしてエサをやっているというね。

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ラフォーレ原宿ポスター’99

  • F:では…あの手はラフォーレという事ですか?
  • O:う~ん。ラフォーレっていうか、正直言うと僕の場合は意地悪なのが多くて、その場合も「ほぉ~らエサをやるぞ。」っていうような絵ですね。もともと僕はそんなテーマを表現したいとか、そういう人ではないのですが、アレはそういう感じですね。
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    ラフォーレ原宿ポスター’00(原宿駅構内)

    F:チワワのTシャツがキツめに着せてあったりするのは?

  • O:う~ん、パーツで聞かれても答えにくいんですよ。ええと、アレもそんなラフォーレの広告として作っていなくて。写真集を作りたいと思った事がキッカケで。もう100点以上かな?別に犬とか普通のだけじゃなくて、ハムスターからヘビからトカゲからサルから色んなものを山のように、違うモードのいろんなものを網羅したような写真集を作りたいと思って。と、いうのは写真集って売れないと聞いていて、じゃあ世界で売れる写真集を作ろうかなと。そういう写真集を作るようにやっているので、だから、あまりあれは深く広告という感じではないんです。動物のモードの展覧会をラフォーレで開くか、と言っていたんだけど、すごく難しくて。見た目はどうって事ないんですけど。もう、モデル捜すのだけでも、セッティングするのも、全てオリジナルで作ってるし、その上もちろん犬も言うこと聞かないし大変ですね。とにかくモデルがいないし、合わせるのも大変で撮影もうまく行かないし…。それでいいと思ってやっていたんだけど、まったく言う事聞かなくて撮影にならない。あんなうまくいかない仕事はないっていうぐらいなんですよ。

基本は本の世界のミュージアムショップ

  • vol004-feature04.jpgF:新潮文庫のYonda?君の事なんですが、普通のパンダなのに、立ち姿が独特で、キューっとする感じがするのですが、あの形にはやはりこだわりが?
  • O:別にこだわりがあるって言ったら何でもそういうのがある訳で、何て言うかあまりそういう感じ※1で仕事してないんですよ。要するに別にパンダがやりたくてあの仕事をやった訳ではないし。最近たくさんの人が文庫本を読まなくなってきて、それでどうするかと頼まれたので…。
    わりとどっちかというとそういう人なんですよ、僕は。もちろんディテールとかデザインとか、そういう事にもうるさいんですけど、どっちかというと、そんな感じなので、だから形とか聞かれても、答えにくいなぁと思って(笑)。
  • F:では新潮文庫の全体的なキャンペーンについてパンダを使ったというのは?
  • O:う~ん。言うと長くなって、話が難しいんですよね。実を言うと専門誌っぽい事になっちゃうんですけど…。
    要するに簡単に言うと広告で本は売れないんですよ。だって例えば新潮文庫っていう事で人は本を買ってない訳で、どういう本だって事で買ってる訳でしょ?だけど売り上げは落ちてきてしまうので、どうにかしたいという事なんです。
    そこで色んな広告はやめて、本をクーポン化したらどうかって提案したんですよ。今クーポンはビールとか色々あるけど、その当時はホントなくて、前例があまりにもなかったので実はストしてたんですよね。要するにそれなりの本読みのプライドみたいなのがある訳で、「私はこれだけ読んだ。」とかあるじゃないですか。そういうのをくすぐる意味も込めて、本を読めばたくさん読んだだけ、読んだ人だけが手に入るしくみを作ろうと思っていたんですよね。

    ただそれだとクーポンだけだから、新潮社としてあまりにも軽薄ではないかと。それで最初やろうとしたのが、本の世界のミュージアムショップを作ったらどうか思ったのね。たとえば色んな近代美術館にミュージアムショップがあるのと一緒で、ピカソの絵が描いた皿が売っているかもしれないしね。文学の世界も山のように財産があるじゃないかという事で、文学でもそういうミュージアムショップを作ったという設定にすれば、クーポンでもそんなに抵抗感がないんではないかなと思って始めたんですよ。
    なので別にパンダがどうだって事はそんな目的は強くなくて、何かパンダは今ウケがいいからという事でそうなってるだけなんですね。もともとはもっと文学系グッズとかをやりたかったんです。例えば「人間失格」というワインがあったりとか色々そういう本の題名だったり…という文学系グッズで作る予定だったんですよ。

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    新潮社Yondaシリーズ’98~

    ま、ついつい若い女の子モードで、お客も多くなって、キャラもそうなっちゃったんですけどね。基本は本の世界のミュージアムショップみたいなのを作って本をどんどん読んで行くと、そこのハイブローみたいなのが入って、そうとう読書家のあかしになって行くという。そんなきっかけで本を読みだして、本当に本はおもしろいという風になってきたら、とてもイイ事ですよね。っていう理想的な話なんだけど。それもスグにそんな風にはならないのではないですかという、とても真面目なボディーブローな訳。

    本を読むのは中高生のあの世代で、その辺でうまくハマってきて女の子はだんだん読む、とか人によって分かれるんですけど、そこである種つかまえて、そこのミュージアムショップにズルズルっとひっぱっていくという、クセをつけるみたいなそういうコースを狙ってるんですよね。割とそういう狙いにハマってる人も多くて、売り上げが格段に上がって効果が出たという程までは言い切れないんですけど、それをきっかけに本が好きになっていく人は着々と出てきたりしてますよね。

  • F:かなりYonda?目当てみたいな人ですけど、周りには結構います。
  • O:うん。きっかけはね、結局何でもいいと思うんだけど、それでそうなっていけばいいので。地道に読書家を増やそうというそういう考えなんです。あとはキャラクターみたいなものを設定して、新潮社としてパンダというのはちょっとガキっぽすぎるかなって、ちょっと悩んだんだけど、そのぐらい分かりやすいのを考えたかった。『読むゾウ』みたいな分かりやすいのを考えたいっていわれて、それで必死に考えてて、イイのがなくて。本当はもっとシブイのにしようと思ってたんですよ。でも最終的にYonda?っていうパンダが分かりやすいと思ってそれにしたんですけど。

    あと最近はそうでもないんだけど、売り出し当初はすっごい地味に作ろうって事で、ちょっと抑えてたんですよね。最近は割と、もういいかってファンシー度を増やしつつあるんですけど(笑)。なので結構ストイックな仕事ですね。パンダの仕事って、強いて言うと、露出量が少ないので、本当に本を読む人しか知らない所がちょっともったいないんですけどね。でもやっぱりそのお陰で文庫の中では断トツで。もともと新潮社だったんですけど、明らかな差で伸びてるんですけどね。

始めてからクセになっちゃった

  • F:Yonda?のビデオも総指揮をされていらっしゃいますね。
  • O:うん。そうだね。それもただの景品だけどね。
  • F:一本の映画を作るような…映画監督のような感じですよね。こだわりを持っていらっしゃる※2のでかなり大変だったのでは?
  • O:そうだね。たかが景品なのにそういうのもイイんじゃないかなと思って。あそこまで本気でやる予定じゃなかったんだけど、だんだん本気になってきちゃって、あれは1年かかってやってて、キャラも全部、デザイン作るだけで半年かかったからね。
    ただ強いて言うとね、もうちょっと自分の好きにやれば良かったかなとも思ってるところもあるんだけど、やっぱり新潮社の広告としてなんで、何だかんだ言っても、自分が好きなの好みとかではなく、これぐらいのテイストがいいんじゃないかとか色々考えてやってるんですよね。
    でもビデオってね、なかなか見れないけど、10冊であんなすごい景品はなかなかないと思うんですよ。
  • F:そうですよね。本当にすごいです。それに今は2冊で携帯ストラップですし。
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    ペプシマンウォッチ’97

    O:あれも…結構ね。ペプシのコーラの時に、時計を作ったんですけど、だいたいああいう景品っていうのは、Gショックが人気ある、というとGショックに会社のロゴとかマークが入ってたり。大体そういう景品ばっかで、何かそういうのはやだよなって言ってたんです。ちなみにこんな感じで、こういう風に作ったらいくらぐらいかかる?って聞いたら、以外とかかんないんですよ。で、僕はその時計からハマったんです。実を言うと。

    その時計の時も全部図面起こして、もちろん中のメーカーの機械も選んで、それに合わせて全部図面書いたんですよ。型からガラスから全部出して。それやって、ほとんど全部何千円かで2万円以上しそうな感じのになるんですね、ちゃんとやれば。

  • F:そうなんですか!
  • O:要はいろんな商品って、原価とか大してないわけ。結局誰が作って、誰がどういう風にお金使って開発に時間かけたかとか、そういうのだから。それを自分がある程度やっちゃえば、お金かかんない!って、その時に思いがけないぐらい、ちゃんとコントロールできたから、そこから結構ハマってね。それにもともと企業の景品にそんなに真面目にやる人はいなくて、そんなんじゃない所の人に…っていうとちょっと語弊があるけど、お願いしてた訳ですね。子供騙しみたいなね。それで、じゃあそこをむちゃくちゃプロフェッショナルにやってみようかなって思って、始めてからクセになっちゃったんですよ。

    そういうのも結局数を作ると、普通の売っている製品とかも、普通の問屋でいろんな間を経るからお金が高くなるけど、そうやって作るとメチャクチャ安くできるのね。仮にパンダのストラップもパッケージから何から全部込みでつくれば、一斉に安くなっちゃう訳ですよね。だから通常は景品にパッケージとかそんなん付けないんだけど、新潮社の場合はあえてそこをやるんだって事でしたね。まぁ結構最近はもう、落ち着いたと言うか飽きちゃったというか(笑)。

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    トコトコ缶ヘルパー’00

    F:ペプシでも新しくトコトコ…やってますが。

  • O:う~ん、っていうか、連続して出してて…。これはそんなに短く話が終わらないんですが、ちゃんと効果的に節度をもって、全然飽きないように、ものすごい良いタイミングで、スターウォーズをやった時みたいにポイントを決めて効果的にやりたかったんです…。そこは整理しようと思っているんですけど。
  • F:でも、一般の人は欲しくて欲しくて、それで第二弾って事になってるというのは?
  • O:う~ん。どうかなぁ~。大体僕はどんな仕事でもやると、長くてなかなか切れないんですよね(笑)。まぁそれは良い事なのかもしれないけど、やってる方は結構大変で、いつも僕の作業って「ここではこういう風にしよう。」って言うと、そこを鮮度を保ってキープしなきゃいけない作業が多くて、気分を変えてスカッと違うのやりたくなるけども、そういう長い付き合いが多くてね、それを生かして長くやっていくという作業なんです。それに必ずしも自分の思ったようにやっている訳では全然なかったり、その辺難しいですよね。
  • F:まだまだ自分の中では違う形にしたいと?
  • O:っていうか、僕は結果出すためにしかやってないので、ある種目的があって、その目的に向って、それを解決する方法としてどれをやろうってやってるだけなんです。別に景品やってても最初は単に景品がついておまけっていう意識は僕にはなかったんですよ。
    例えばスターウォーズのボトルキャップをやった時は、もうあれは強力なイメージ広告だと思ってたから、おまけだけど、あれによってペプシのスケール感だとかメジャー感とか色んなイメージがものすごい上がったんですね。
  • F:ペプシの広告はどういう流れで?
  • O:ペプシマンも結構長いですね。当時アメリカですごく評判の高かったペプシのコマーシャルのを持ってきて、やったんだけども売り上げに結びつかない。じゃあって事で、その人気のあるペプシのコマーシャルの完全な世界観はキープしつつ、売れるような広告を作ろうって、ペプシマンを開発したんですね。前はペプシコーラジャパンだったのが、今はサントリーさんになって、いっぱいいろんな所に置かれて、さぁ勝負だ!って。

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    SOUND BIG BOTTLE CAP’99

    こういう業界は、CMの効果がどう上がったとか割と調査とかやるんですけど、それでものすごいスコアが高いんですよね。毎回ペプシの広告は。ものすごい人気がでて、めちゃくちゃ炸裂したんです。それで、飲みたい、というすごい高い数値が出て。なのに、1回買ったら、もう売れないんですよね。まぁ日本では、世の中がコーラを飲みたいっていう時代ではないから、もともとすごく難しいんですけど。

    僕はわりとそういう商品が多いんですね。今ものすごく人気商品というのを担当する機会が少ないんです。今お茶だったら、みんなお茶の仕事をしてるとか、そういう仕事ではなくて結構ヘビーな…今はみんな本を読まないとか。そういう仕事が多くって、コーラもやっぱりそうでね、その中である種、コカ・コーラっていうの潜在威力のものすごい、販売力の増大な比べものにならない敵との差とか、それをいくらそこまでの効果があるだろうと思われてるCMをやったところで、それは当然スグには答えは出ないと思っていました。やっても変わるわけないじゃんって思ってた。最初はパッと変わったけども、2回めからはそう簡単には変わらないみたいな。
    それで僕は正直、広告のやる事もモノによっては限界を感じてね。その中のギャップとか出てきたんですね。そういう状況からでてきたのがボトルキャップなんです。

ボトルキャップとペプシマンの秘密!?

  • O:で、ボトルキャップというのは何かと言うと、結局は飲ませる事以上に強い広告はないって事でやってるんです。要するにどんなイメージがあって、誰が出てきてカッコ良かろうが、そんな事してるよりも、「これ、ペプシコーラだ」という事に対して、四方を突き破れないんですよ。それをもう『飲ませる』っていう事をちょっと考えてる訳ですよね。サンプリングっていうやつなんです、ある種の。
    何度も何度も経験すると、自分の中でオッケーで、自分の中の範疇に入る商品なんですよ。もう慣れてね。ペプシは特殊で必要ないっていうんじゃなくて、時々飲むっていう経験値を上げていって。

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    調査の結果で経験値っていうのは回数を上げていくとおいしくなるらしいんですけど、慣れだったりするんですよね。で、コカ・コーラの味に慣れてると、こっちがダメで、こっちが慣れてると向こうがダメで…っていう事が、あるんです。
    そう言う訳で、単におまけを付けているっていうんでなくて、理論的にはそういう長期的な、ホントのプロローグっていうのかな。商品をスタート地点に立たせる事を意識して始めてました。今は、立ってるとは思うんですけどね。そういう意味での広告なんです。

  • F:ペプシマン自体がペプシを表しているのですよね?
  • O:うん。要は人気あるコマーシャルを作ってもダメだと思ったんですよ。CMに人気があるっていうのはダメで、ペプシコーラ自体が人気者にならなくちゃダメだなっていう風に考えて。主役をペプシコーラに考えて、商品をキャラクターにしたんです。
  • F:汗がカンにつく水滴だったりというお話ですよね。
  • O:そうです。当初プレゼンの時に「みなさんはペプシコーラを考えないでください。ペプシマンを人気者にする事だけを考えてください。」という事でやったんです。ペプシマンっていうのはペプシコーラでイコールであって、すごくおいしそうな感じとか、スカッとする感じとか、色んなものを表現したい所は全部ペプシマンのキャラが全部出します。水滴がついて冷えた感じとか、ちょっと少しおしゃれな感じで「このチェーンをしてるんですね。」とか、「ちょっと黒人っぽいんですね。」とか言って(笑)。

    要するに全部入れていて、ペプシマンが出てくれば言いたい事は全部言えているというような、そういう方式にして、あとはこのキャラを人気者にすればいいっていうだけなんです。だからシズル感※3出す為に、顔もなにもないんですよね、缶のようで。最近ではバカタレなCMが多いんですけど、当初のあの頃はすごいハイパーな技術を使ったバカタレっていうのはなくて、CGとかお金かけたハリウッドのすごいので、おバカでオナラするぐらいなレベルの事をしようかなっていうのを考えたんですけどね。

すごく影響をおよぼしてるのは…

  • 大貫卓也氏の仕事
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    日清カップヌードル ポスター’92

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    ラフォーレ原宿ポスター’98

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    サントリーCCレモンシンプソンズキャンペーン’00

  • F:大貫さんの「ヒーロー」というと、小さい頃に「狼少年ケン」のシールをあつめていたというのは知っているんですけど。
  • O:な、なんで知ってるんですか?う~ん。えっとねぇ…。う~ん。スカッと答えられないなぁ。……。(かなり長い沈黙)。ん~怪獣とか、あと図鑑かな。
  • F:図鑑!?
  • O:うん。図鑑少年だったから。
  • F:骨が好きだったからですか?※4
  • O:えぇ。骨とかかなり好きでしたね。
  • F:図鑑がヒーロー!?
  • O:図鑑っていうか…う~ん、ヒーローねぇ。
  • F:そんなにでは怪獣とか好きではなかったのですか?
  • O:いや好きですよ。
  • F:シーボーズとか?
  • O:う~ん、シーボーズとかはそうでもなかったけど…あぁ、そういう意味では…でもムリヤリヒーローっていのもイヤらしいなぁ。成田亨がなんとかっていうのもなぁ
  • F:あぁ~すみません、無理にはいいですぅ…成田亨さん?
  • O:もうアレは相当すごいと思います。ウルトラ怪獣の初期のとか作った人とか。あの辺はもう…アメリカとかに比べると、日本はいきなり成田亨から、アートでぶちこわれたので始まったから、何かめちゃくちゃなんですね、日本人のああいう感じの。あの辺のウルトラ怪獣とかは相当すごかったですね。
  • F:ウルトラマンと怪獣ではどっちが好きだったんですか?
  • O:それは怪獣でしょうね。
  • F:怪獣の方が?
  • O:うん、だって僕はウルトラQから見てる人だから。そういう意味ですごいショックだったというのはありますよね。「猿の惑星」なんかも同じようなタイミングだったけど、そこら辺もすごかったし。あとは何だろうな…。
  • F:なんとなく普通とは違うような。
  • O:ほら、僕はやっぱりマニアックなのが好きだったから、みんなが好きっていうのはちょっとイヤだなっていう、そういう人だったんですよね。それだったら悪役の方が好きとかね。そうね、あとは…う~ん、だってさぁ、いっぱいあるじゃん、子供の頃はさぁ、「狼少年ケン」もそうだし「鉄人28号」もそうだし、みんなそうですけどね。でも、やっぱ今の俺にすごく影響をおよぼしてるのはやっぱ「ウルトラシリーズ」かもしれないねぇ(笑)。そんな気もちょっとしないでもないかな。
  • F:本日は本当にお忙しい中、どうもありがとうございました!!

2000.9.14 大貫デザインにて

プロフィール

vol004-feature15.jpg大貫 卓也(おおぬき たくや)
アートディレクター。「プール冷えてます」「史上最低の遊園地」「サンタフェの扉がやってきた!!」など、ポスターの前で笑った人続出のとしまえん。「hungry?」の日清カップヌードル。nudeでビックリ、最新作インコやチワワが意味深「ラフォーレ原宿」。本を読む人をワクワクさせた新潮文庫、パンダの「yonda?」。そして、スーパー魅力的ヒーロー、ペプシの「ペプシマン」などの新しく刺激的で心を掴む表現をつくりだしてきた。ADC最高賞や、毎日広告デザイン賞最高賞など受賞作多数。

「今月の広告」 豊島園ポスター’86

vol004-feature17.jpg本当のお風呂屋さんを借りた。専門の絵書きさんに頼んだら、「オレは富士山と松しか描けない」って言われて結局、フライングパイレーツはハシゴにのぼって自分で描いた。「記念にこのまま置いときます」って言ってたけど、あの北千住のお風呂屋さん、どうなったかなぁ。(マドラ出版「大貫達也全仕事」より)

scoop! あの広告は今…?

  • vol004-feature18.jpgO:ん?コレ何?まだ残ってるんですか?すごいですねぇ。
  • F:はい。もう2年前に営業は終了しているんですが、問い合わせをしてみたらまだ残っているというので行ってきました!
  • O:へぇ~変わった事しますねぇ。そうとう大昔のネタで(笑)

大貫さんの思い出 森本美由紀

vol004-feature20.jpgもう何年も前、mc.sisterの読者のページにタマちゃんという落書きのような漫画を毎月描かせてもらっていました。確か大貫さんはそれを見て電話をくれました。タマちゃんが好きだとかおっしゃっていました。それから豊島園のお仕事何回かご一緒しました。大貫さんは、とても仕事熱心で頭の良さそうな笑顔の可愛い方でした。

ある日「ペンギンを描いてくれない?」と依頼があり、詳しい内容も解からず、かなり沢山描いて持っていったら「これはイラストレーターの絵なんだよな。こんなんじゃないんだよ。」私はイラストレーターなので訳がわからなかったですが、悩んでいらっしゃるようでしたので、もう少しその場で会社のデスクを借りて描いてみることにしました。

お話を聞いてみると「お店の絵の下手なおばちゃんなんかが一生懸命描いたような絵がいい。」と大貫さん。「そ、そんなんなら近所のおばちゃんに頼めばいいのに~」と思いました。少しばかりのプライドがズタズタですが、確か徹夜して描いた憶えがあります。何気に励ましのようにかけてくださる言葉も「僕有名じゃない人好きなんだ。」とか「お願いっ!だってちゃんとした人には頼めないから。」とか、こちらの気持には遠慮なしの発言ばかりで…。その頃の私はめったなことで驚いたり怒ったりしない、ある意味のんきな若者でしたから静かに作業を続けました。

困ってなんとなく浮き輪を腰につけたペンギンを描いて「これは?」と大貫氏に見せると「うっわー下品だなー!」「ハトヤってセンスだこりゃー」…なんかヒドイ言われよう。おまけにじーっと考え込んだ挙句「うんこれでいいんだ!そうだ!プライドだとか美意識なんてモン捨てればいいんだ」って。何かにとりつかれているようでした。きっと新しい局面に立っていたのでしょう。私もイラストレーターとしてのプライドを捨て彼のアイデアに沿うような絵を描いたと言うことですが、彼のアイデアがまずあってこそのものだったので、他で頼まれてもこのようには行きません。

その後お仕事ご一緒したことはありませんが、今思い出すと、大貫さんの仕事への熱心さにはとても動かされた記憶が蘇ります。

森本美由紀 (もりもと みゆき)

イラストレーター。groovy book review(B.I.PRESS)、PIZZICATO FIVEジャケット他、雑誌、CMなどで活躍中。


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