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特集

はじまり - 伊藤桂司

Vol. 005 特集

世紀末+年末が重なるmiracleな2000年末。
見た事もない未確認新年がやってきそうな予感がしませんか?
そう、何かあたらしくはじまる感じ。「末」がクローズアップされるこの季節、「はじまり」を振り返ったり想像したりしてみたい。
いつもフレッシュで不思議な世界を見せてくれる、伊藤桂司さんの「はじまり」って何だろう?

UFGについて

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  • F:まずはUFG(Unidentified Flying Graphics)についてお伺いしたいのですが、「未確認」「正体不明」という…やはりUFOに近いイメージになるんでしょうか?
  • I:そうですね。未確認飛行グラフィックというバカな…(笑)UFOの一字違いだから覚えやすいかなと思ったんですけど、みんな全然覚えてくれないんですよ。たまに「プロレス団体ですか?」って言われちゃうし(笑)。
  • F:最近の代表的なお仕事は?
  • I:キリンジのアルバム「3」と、Maxi Single「グッデイ・グッバイ」「君の胸に抱かれたい」「エイリアンズ」 のジャケットと、野宮真貴「miss maki nomiya sings」、宇多田ヒカル「FLY ME TO THE MOON」、キリンジ「君の胸に抱かれたい」のプロモーションビデオ、福岡ユタカさんのジャケットデザインなどです。あとは「ダイヤモンド展」のポスターかな。「ダイヤモンド展」ポスターは、アートディレクションが奥村靫正さん、デザインが松下計さんです。
  • F:それは全てUFGとしてのお仕事なのですか?
  • I:その仕事によって違いますね。アートディレクションとデザインの時はUFGで、イラストレーションは伊藤桂司、という感じでやっています。

「HAAS&CAGE」について

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    HAAS&CAGE
    ミュージシャン高野寛さんとアーティスト伊藤桂司さんによる、ビジュアル・コラボレーションと往復書簡で構成されるサイト。文章の内容も面白いが、写真等の素材から生まれてる作品が掲載されているのが凄い。必見!

    ※網膜が関係する話が、手塚治虫ブラックジャック「第167話 春一番」にあるらしいと言う話が、ページで盛り上がっていた。

  • F:ミュージシャンの高野寛さんとの「HAAS&CAGE」というページについてですが、更新の頻度がすごいですよね。
  • I:そうですね。1週間に1回の割合で更新していて、もう2年程続けているので、そろそろ100回を超えるんです。
  • F:このページがスタートしたきっかけは何だったのですか?
  • I:知り合ったきっかけは、ステージの美術を担当して以来、彼の「ベステンダンク」のシングルのジャケットでイラストを描いたり、彼が、僕が描いた絵と同じ夢を見たと言って、電話をかけてきてくれて、始めてお会いしたんです。
  • F:長いおつきあいだということですね
  • I:そうですね、対談したり。(下記参照)
  • F:夢と言えば「HAAS&CAGE」で話題になっていましたが、伊藤さんはよく不思議な夢を見られるそうですが?
  • I:どんな夢があったかな?
  • F:”網膜”の夢はすごかったです!
  • I:あ、そうそう。あの夢はすごかった。昔、“殺人事件が起きて、現場検証をしている名刑事(オレ)が、なんと、被害者の網膜に焼き付いた最期の画像から、犯人を割り出す。そして見事に事件解決。” っていう夢を見たことがあるんです。後から過去のマンガ※で同じ話があったって聞いたんですけど、全然知らなかったし。
  • F:まさに伊藤刑事(伊藤桂司)!
  • I:そう!名刑事!(笑)
  • F:あとこれも「HAAS&CAGE」で書かれていたことですが、昔Yellowまで自転車で行かれた事があるそうですね?
  • I:えっ!?もう忘れてましたよ。そうそう、行きましたよ団体で。
  • F:チャリンコ軍団!?
  • I:4台連なって、全員無言で(笑)
  • F:結構距離ありますよね。
  • I:もうヘトヘトでしたよ~。でも自転車は結構好きな方でよく乗ってるんです。慣れちゃえば楽だしね。COGGYという自転車で、もう10年ぐらい乗ってます。タイヤがすり減ってたりしてるんですけど。
もっと「はじまり」

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POWER OF TOWER

はじまりは「夢」から。
ミュージシャン高野寛さんとは、単行本(エッセイ「いつのまにか晴れ」(ソニー・マガジンズ)で対談。
「HAAS&CAGE」vol.0で高野さんは目の前にあった山弦(ギタリスト佐橋佳幸さんと小倉博和さんのデュオ)の、アルバム「JOY RIDE」を見ていて『このアルバム、中身もさることながらジャケットが大好きなのだ。このジャケットのコラージュを担当している伊藤桂司さんと、ビジュアル作品のコラボレートをしながら、メールのやりとりをするのはどうだろうか。』と思いつきひらめく。

高野さんは、写真を撮ったりコラージュの作品を作りして、ホームページや、ツアーパンフなどで発表している。その感覚を生かした魅力的なコラージュ作りや、素材提供(これらがやりとりされて、新しい作品が生まれていく)をしている。話の中には、不思議な体験なども紹介されている。ある回では、高野さんの友人でもある谷崎テトラさんが、伊藤さんの個展の時“POWER OF TOWER”という作品を見るなり、「これアマゾンで見たUFOと同じですよ。夥しい数の光りがこうやってうごめいていたんですよ。」と言ったそう。それが右の作品なのだった。

そういった不思議な話以外にも、日常の事など楽しいやり取りがかわされている。

プロモーションビデオを楽しもう!

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    キリンジ「君の胸に抱かれたい」
    Direction and Artwork 伊藤桂司
    Edit 阪本親則、菊池久志(ケネックジャパン)

  • I:キリンジはこの曲を含め、今までのクリップを集めた、DVDとビデオがでるんです。キリンジの口だけ動く画像は砧公園で二人、別々に口だけとってあわせているんですよ。初めて、PVのフィルムディレクションを手掛けました。フレームという機械を使って創り、実写とコラージュが 混ざったような作品になりました。
  • F:幸せ感が満載ですね。あっ、かわいい!かわいい!!
  • I:サビはインコが歌ってるんです。
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    宇多田ヒカル「FLY ME TO THE MOON」
    制作 バタフライ・ストローク
    AD+CD+PI 青木克憲
    Dir 谷田一郎
    IL 伊藤桂司
    Pr 臼井悟史・川村正

  • I:これは東泉さんとつくったモータウェイのモノクロバージョンなんです。この後に宇多田ヒカルのPVを作っているのですが、それは「MOTORWAY」のカラーバージョンです。去年、九州でスカイラブのイベントがあったので、その時にあわせてつくりました。東泉さんがディレクションしてくれて、音楽は昔、うちでアシスタントしていた佐々木君です。なんとなくプリンスに似てるので「ぷりんす」って呼ばれてます。いい音楽をつくるんですよね。
  • F:これは展示会のみで流れたんですか?
  • I:いえ、ほかにロッテルダム映画祭などのイベントで流れたんですよ。
  • I:REMIXの発売を記念して、青木さん、谷田君と一緒につくったんです。
  • F:(見とれて)画集がそのまま動いているようです!
  • I:そのまま使ったのもあるけど、平面で側面などを描きおこしたものもあります。
  • ※RESFEST2000日本ツアー、原宿11/24~26と大阪12/2.3で上映される。
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    野宮真貴「miss maki nomiya sings」
    Direction デイヴィッド・デュヴァル・スミス、伊藤桂司
    Edit 阪本親則(ケネックジャパン)

  • I:デザインユニット「生意気」のデイヴィッドとやりました。
  • F:うわ~キレイ!こ、これは、ビデオコラージュというか紙ではできない表現ですよね…!
  • I:キーワードがマイアミ、ディスコ、リゾート。元の素材は映像ではなく、すべて平面を使用しているんです。

MOTORWAYって?

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  • I:「MOTORWAY」はSKYLAB LABEL認定第一弾として完成した僕の作品集です。タイトル通り、高速道路をモチーフにしています。
  • F:スピード感、構想などはどのように?
  • I:あの時期はちょうど、日本や海外で気持ちの良いハイウェイを走る機会が重なって、無意識の内にたくさん写真を撮っていたんです。それが、ある時それまでの自分の中に蓄積されてきた情報量が溢れだして、臨界値を越えちゃったという感じかな。その瞬間、きらっと閃くんです。
  • F:イラストの感じが以前と比べて、とてもスッキリしたように感じるのですが…?
  • I:やっていくうちに、削ぎ落とすべき所が分かってくるようになったんです。常に俯瞰して批評的な目で見てると、自分に必要ない部分が見えてくるんですよね。やはり、自分で自分の作品を編集する視点がないと、私的な一つの世界に埋没してしまうので、常にスタンスをとるように心掛けています。それの繰り返しですよね。

※SKYLAB LABEL…もっと自由にものを作りたい、そうした願いを実現すべく 伊藤桂司、東泉一郎、ヒロ杉山、吉田秀道、 北川大輔により結成されたブックレーベル。

ビジュアル専門書店「プロジェット」

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デザイン、写真、建築、アートに携わるクリエイター向けの書店「プロジェット」。スカイラブレーベルとは深い交流をもち、メンバーからはホームグラウンドとされている。書店オープン記念イベントではスカイラブレーベルのメンバーによる『お茶会』が開かれた。

この『お茶会』、スカイラブの他にも奥村靫正さん、青木克憲さん、中沢新一さん、など数々のゲストを招いている。普段会えないクリエイターと、お茶を飲みながら身近に話すことができるのが魅力だ。その他、店内ギャラリーとして展示ボードで、グラフや、大森克己さん、高田理香さん、半沢克夫さん、五木田智央さん、アポロ(土屋尚武さん・ウメキマキコさん)などクリエイターの展示を行ったり、ライブパフォーマンス、ポエトリー・リーディングなど、様々なイベントも行っている。まさにクリエイターにとって不可欠な、あらゆる情報を収集・発信している刺激的拠点なのだ。

書籍の他、ポスター、Tシャツ、DVDなど最良の物を独自にセレクト。随時チェックしたい。
PROGETTO http://www.progetto.co.jp/

テーマ「はじめて(はじまり)」について

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    『NINIFUNI/ 二而不二』(光琳社出版)
    2冊目のイラスト集。まさに「これ、夢で見た!」という情景が広がる。

  • F:伊藤さんにとって「はじめて」というとどんなことがありますか?
  • I:知らないうちにキャリアがついてるじゃないですか。今、そこをリセットしたい感じはありますね。今までのことをやりとげて満足したっていうのではなくて。はじめて=「未知」というとその通りで瞬間瞬間、いつもはじめてということになるよね。気になることとか人とか自然に、同時代の呼吸をして、取り入れたいと思うんです。物理的なキッカケというと本や個展になるんですが。
  • F:キャリアの「はじめて」についてなのですが、どこからということになりますか?
  • I:すごい偶然と言うか…友達と、フィルムつくったりしてたんですね。それを古本屋で見つけた、ある編集部に見せに行ったんです。『Jam(エルシー企画)』っていうアンダーグラウンドマガジンだったんですよ。その時、たまたま行けなくて他の人が見せに行ってくれたんですが、「これつくったヤツ連れてこい」って。それで作品を持っていったんです。その雑誌が後で、「heaven」(エルシー企画後に、アリス出版と合併)ていうのになったんですが、そこの編集長の佐内順一郎さん(現在、高杉弾氏)が、ピックアップしてくれたんです。そこからですね。スタートが。それから、湯村輝彦さんとか羽良多平吉さん、杉浦茂さんなどビッグな方々と続けて会えたりして、精神的にも高揚する時期が続きました。ほんとうに、いいスタートだったな、と思いますよ。
  • F:絵はずーっ描いてらっしゃるのですか?
  • I:そうですね、小さい時から。ずーっと。
  • F:イラストレーターを意識して?
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  • I:うーん、当時イラストレーターって言葉は、そんなに知らなくて。高校生の時かな、ジャケットぐらいにはイラストレーションっていう名前を見るようになって…ロジャー・ディーンとかヒプノシス、日本では、横尾さんとか湯村さんとか河村さんなどの仕事をみて「わぁ、すごいな」と。8つぐらい上の従兄が、ちょうどグラフィックデザインをやってたんですね。で、イラストってことを教えてくれたんです。例えば、「イラスト」と「絵」の違いとか。
  • F:絵を職業とする以外に、他になろうとしたものは、なにかありましたか?
  • I:うーん、ないなぁ。
  • F:学生の時のクラブ活動って何を?テニス部とかやっていらしたのでは?
  • I:ないないない(笑)スポーツとかは遊び程度で、ほんとずっと絵をやってましたよ。美術部でしたし。あとは時間があると中古レコード屋さんや古本屋さんにいってました。今と全然かわってないです。
  • F:ミュージシャンなどに興味は。
  • I:音楽もすごく好きだったんですけど「練習」ってのがダメで。楽器は練習しないといけないじゃないですか!弾きたいと思った頃に聞いた音楽はプログレとか難しいものが全盛の時で、弾く気にならないっていうぐらい凄くて…音楽でやりたいことを絵にしてきた感じですね。
  • F:筆が楽器だ!みたいな感じですか!?
  • I:カッコい~!(笑)…でも、そう言えるかな。
  • F:小さい時はどんなものを…身近なものを描いていたのですか?
  • I:普通の、鉄人28号とかアトムとか。そういうマンガ描いたりするのが多かったですね。あ!高校生の時に先生達の似顔絵を描いて教室の後ろにクギ刺して貼ってました。あとで、すごい怖い先生に呼ばれて、「殴られるかなー」とかドキドキしてたら「俺も描いてくれ!」って写真をくれて。
  • F:わー、それは初めての依頼ですね!
  • I:あ、そうですね。その頃のほうがデッサン力があったかも(笑)なんか、すごい懐かしい感じ。甘酸っぱいというか。

SKYLABレーベルの近況について

  • I:今度3人(伊藤桂司氏、ヒロ杉山氏、東泉一郎氏)で各400ページぐらいの分厚い本を出すんです。僕の場合は、メモ、ラフ、写真などの他、インスパイアされたものや新作を並列に並べて、脳の中にある分裂したイメージの断片を集めた、脳の断面図のようなものを作ろうと思っているんです。
  • F:ラフな絵というのは、「HAAS&CAGE」でお話されていた『電話しながら描いているような絵』ですか?
  • I:まさにそんな感じ!全然意識していない、記憶がないような絵。
  • F:とても楽しみにしています!ありがとうございました!

2000.11 UFGにて

プロフィール

伊藤桂司(いとう けいじ) 。1958年東京生まれ。UFG(Unidentified Flying Graghics)INC.代表。広告、書籍、音楽関係のアートディレクション、グラフィックワーク、映像等を中心に幅広く活動する。


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