バックナンバーの閲覧

そんなセリフ迷っちんぐ!

本で見かけたへんなセリフにズームイン!!

ロマンチック・すてきに初恋

Vol. 001 そんなセリフ迷っちんぐ! フキコ7

「ちょ、ちょっと、チェリー、大丈夫なの?熱って…」紀子がひたいに手をあてようとすると「やだもーん。」千恵里は紀子の手をかわし、人さし指で自分の左胸をさした。「熱はここ。ハートただいま80°C。見つけちゃったのよ、男の子。とうとう、わたし、好きな男の子見つけたの。」
~『ロマンチック・すてきに初恋』~(ポプラ社)陶酔度★★★★

vol001_guest_maitching.jpg
『ロマンチックすてきに初恋』(ポプラ社)
その他関連作品
『忍法・あゆみがキッスでござる』 …陶酔度★★
『はっとして死ンデレラ』…陶酔度★ (すべてポプラ社)

読めば読むほどツボにはまってしまうセリフを毎回取り上げていくこのコーナー。第1回目は、イッちゃているセリフならどこにも負けないポプラ社の“ときめき文庫シリーズ”から。

千恵里と紀子は市立に通う中学一年生。ある日、高校野球の試合をテレビで見ていた“チェリー”こと千恵里は、応援席に映った男の子に一目惚れする。そんな千恵理の連絡を受け駆けつけた紀子に向かって、彼女が口にしたセリフがこれ。私が紀子だったら、その場でドアを閉めて帰っているところである。
とにかく“チェリー”ったら、行動が終始やばめ。「今日は最高!明日も最高!」と言うや否や、鏡の自分にウインクをして家を飛び出したり、好きな男の子への手紙に「わたし、ボーイフレンド求めてます。最優秀候補はキミ。絶対キミ。私とカップルしませんか。」と書いてみたり…。自分のかわいさを自覚しているだけあって、陶酔度120%ってとこか。

かくいう私も『C-C-B』に夢中なり、※1“ヒデ君日記”という題でポエム&熱い想いを綴っていた人生の汚点ともいうべき少女時代があったが、彼女と比べてみれば屁みたいなものだろう。意味不明なタイトルもポイント高し。“ロマンチック”の“チ”という辺りに時代を感じます。

※1:フキコ7が当時大好きだった『C-C-B』のベース“渡辺ひでき”へ思いを綴ったポエム&ラブ日記。「ヒデ君、今あなたのために手袋を編んでます。待っててね。P.S今日、夢にヒデ君がでてきたの。うれP!」etc…、赤面する文章が盛り沢山。

よろしくメカドック

Vol. 002 そんなセリフ迷っちんぐ! フキコ7

「ナ…ナベさん!!」「かけひきが必要なんだよ勝負にはね…!!」自分たちの車を追い抜いたワタナベにうなる風間と那智。「くうう!!」「くそォ逃がすものか!邪魔だ、どけどけメカドック!!」スピードを上げ始める那智だが、風間も負けはしない。「おっとどっこい!!」「こ…こいつゥ」
「よろしくメカドック」~熱戦度…★★★★★

よろしくメカドック
「おっとどっこい」系のセリフを数えてみたら、この巻だけで7回は使われていた。数えるなっつーの。

どうだろう。だって、タイトルが『よろしくメカドック』である。いきなり“よろしく”されても困っちゃうが、そう言われては買わずにはいられなくなるのがA型の性格。気づくと、レジでお金を払い、カバーまでつけてもらっていた。

とにかく、タイトルが強烈ならば、中身も強烈。一言でいえば、車に人生を賭けた輩共の青春(?)ストーリーで、セリフが、クサい・熱い・うるさいと、牛丼屋のキャッチフレーズみたい。「くさい」とか「うるさい」とか言っちゃうと語弊があるが、まぁそれほど白熱したシーンが多いということだ。

第3巻では、キャノンボール・トライアル※1が舞台になっており、その白熱ぶりには更に拍車がかかるってもの。ただ、運転している最中に、「エンジンのパワーはシリンダー内に吸収されうんぬん…つまり俺のシルビアのパワーアップチェーンは圧縮比アップだ!!更にピストンをハイコンプレッションに交換。上部の盛り上がったこのピストンが圧縮比を高めてくれる」と叫びながら、かつぜつよく説明されても、「誰に話してるのさ、お前さん」と思わずつっこみを入れたくなってしまう。熱すぎるが故、車好きでない人には笑われてしまう運命にあるマンガといえよう。つーか、風間、ニトロ※2使いすぎ。

※1…本来は、アメリカ東海岸のNYからロサンゼルスまでを走るタイムトライアルレースのこと。

※2…車体に装着する事でエンジンの回転数を大きくし、加速度を上げる事ができる代物。使いすぎるとエンジンがオーバーヒートして動かなくなるってのに、ムチャさせて車を炎上させた主人公・風間。

快感フレーズ

Vol. 003 そんなセリフ迷っちんぐ! フキコ7

俺はずっと生まれてきちゃいけない人間だと思ってた。誰かを必要とし、必要とされる自分を最近強く感じる。うまく言えねェけど分かったんだ。ここにいるルシファーのメンバー、そして1人の女の為に…。俺は今ここにいる。月並な言葉しか思いつかねェけどお前が俺の…レーゾンデートル(存在理由)~
~『快感フレーズ』(小学館)~興奮度…★★★★★

vol003_guest_maitching.jpg
何かっていうと後ろから愛音を包み込む咲也。ベッドシーンのバラはお約束ということで。

1年ぶりだろうか。部屋の片隅に封印しておいたこの漫画を、久しぶりに読み返してみた。改めて読んで驚いたのが、主人公・大河内咲也の設定である。カリスマ的なバンド※1のボーカリストなのはいいとして、フェロモンがムンムンのうら若き美少年で、高校生のくせにフェラーリで通学しまくり、御曹司で、心臓が一時停止したにも関わらず生き返ってしまうという、出来すぎなほど超スーパーミラクルイケメン※2なのだ。たとえ、お笑い芸人の”ビビる”のように「みなさん、今晩みー」と言っちゃってもカッコイイのだろう。

そのうえ、言い寄ってくる女どもには目もくれず、彼女の愛音※3だけにゾッコンラヴとくる。「今日のワインは料理を味わうためのもんじゃない、お前を味わうためのもんだ」とか、「お前の体にしみついた俺の記憶まで消せやしない」とか言いながら彼女を抱くのは茶飯事で、その度に私のドーパミンは全開し、ベッドで飛び跳ねてはブリッジをする始末。思わず「こんな高校生いねーー!」と、某番組の未成年の主張風に叫びそうになるが、実は一番咲也に毒されているのが自分だったりする。このまま読み進めていくと体がもちそうにないので、やはりこの漫画は封印したほうがよさそうだ。

※1…「ルシファー」という名の、Hな詩がウリのバンド。のちにバンド名を「ルシフェル」と改め、アニメ化と同時に、同名のバンドが実際にデビューした。

※2…とてもナイスでカッチョええ男って意味。ホントか?

※3…ルシファーの作詞を担当している女子高生。顔は普通だが、スタイルが抜群にいいらしい。

おにいさまへ…

Vol. 004 そんなセリフ迷っちんぐ! フキコ7

「さあ、もうベルは鳴ったんだからね。いちおう席についたんさい! 週番!チョークがないよ。 ホームルームのまえに取りに行って!」「はあ~い、薫の君」「席に着けって言ってるの、おまえさん耳あるんだろ!」「すてき!薫さまの怒った顔すてき!」「かってにおさらし!」
「おにいさまへ…」(中央公論社) ~崇拝度…★★★★★

vol004_guest_maitching01.jpg自分が通う名門女子高での出来事を、勝手に慕っている『おにいさま』へ毎回手紙で報告していく(※1)という思春期を王道で行く主人公・御園生奈々子。彼女を筆頭に、この物語にはかなり時代錯誤(※2)な女の子が登場する。

同じ学校に通うサンジュスト様なんかは、そのアダ名からしてどうかと思うが、バラを咥えながらピアノを演奏したうえに「私のバラを欲しい人は誰だい?」などとのたまう姿はまるでミッチーさながら。しかも、サンジュストにお熱の奈々子は、『おにいさま』にその心境を綴っているのだが、これが凡人には理解不可能な文面なのである。

「さわやかな風と、まばゆい光の中で鳴り響く鐘の音のように、ひんやりとしめやかな、そして驚くほどよくとおる声が、その時、私の胸いっぱいに響き渡ったのです。」…おおげさな。そう言えばこんなのも。「おにいさま、心をこめて投函します。追伸:ある方のそばにいくと胸がドキドキするヘンな奈々子より」…アナタ本当に大丈夫?

vol004_guest_maitching02.jpg
サンジュストや右大将・薫の君の他に女王・宮さまがいる。どなたも高校生には見えないんですけど…。

しかし、親友の智子だって負けてはいない。「やばいぞよ」といった死語を連発した挙句、「大学の学園祭ってはじめてだから興奮の連続でありましたぁー」って、あんたは軍人か。

思春期…それは甘酸っぱい青春。だが、人生の記憶から抹殺したくなるのもまた思春期の思い出なのである。

※1…「おにいさま中間テストです」だの「おにいさま、心を込めてこのお手紙を投函します」だのアニメでは必ず「おにいさま」で始まり、予告で「おにいさま、涙が止まりません」と嘆く奈々子。一体、何が彼女をそこまでさせるのか?

※2…この学校には、女王・宮さまが会長を務める『ソロリスト』なるものがある。これは俗に言う社交界なのだが、その選出が原因で毎年熾烈な女の争いが起こる。「この3流弁護士!」や「ポルノ作家の娘!」は名言。

歌って!ナナちゃん

Vol. 005 そんなセリフ迷っちんぐ! フキコ7

「ナナちゃんよかったわね。新人賞おめでとう!」「聖子さんがドレスを貸してくれたからよ。」「お願いなんだけど僕らの映画に出てくれないかな。」「まぁ!モッくん、ヤッくん、フッくん。」「あっ!トシちゃんもお祝に来てくれたの!」「今度僕とデュエットをしてほしいんだ。ふたりでダンスもするんだよ」「ええっ!私ダンス苦手なの」「大丈夫、少年隊が手伝ってくれるから」
~ 『歌って!ナナちゃん』アイドルスターコミックス(てんとう虫コミックス)~ アイドル度 …★★★★★

歌って!ナナちゃん
マッチの顔があまりにもリアルすぎ。そんなにニキビ描かなくてもいいじゃん。とはいえ、オレもマッチと一緒に『ワッショイ』歌いてぇ~。

今やもう下火になってしまったが、私の幼少時代はまさにアイドル黄金時代の真っ只中だった。松田聖子やたのきんトリオに始まり、中森明菜、中山美穂、チェッカーズ…なかには桑田靖子や橋本実加子(※1)といった不可解なアイドルもいたが、華やかな世界で活躍する彼らを見ながら幼少時の私は空想に浸ったものだった。

たとえばトップテンのエレベーターから降りてきて、マチャアキや郁恵ちゃんと一緒に「親子でブー」って言いながら記念撮影したり(※2)、ベストテンの特番でチェッカーズとデュエットしたり…etc。そして、そんな夢物語をことごとく叶えたのが、この漫画の主人公・水島ナナなのである。やれ、シブガキ隊の映画に出演だ、マッチの妹役に決定だ、トシちゃんとデュエットだ、それも大物アイドルが自らナナちゃんに頼みこむなんて、キー!なんてうらやましい。とにかく、誰もがナナちゃんにメロメロなのである。そのうえ、同期のアイドルがお約束のようにイジワルをしても、結局は最後には立場が逆転して新たなコマーシャル契約まで結ぶんだもの。横山のヤッさんじゃないけど「なんでやねん」ってつっこみたくもなるがな。

ちなみに、シリーズに『あいらぶナナちゃん』というのがあるが、これもタイトルが微妙に変化しただけで、中身はまったく変わらずじまいの代物であった。トホホ。

※1…本田美奈子や芳本美代子らと同期のアイドル。かわいらしさをウリにしていたアイドルと違って、濃い眉毛をウリにしてたが、チャームポイントまでには至らず、いつしか消えてしまった。ちなみに、ファースト写真集は『あまんじゃく』。

※2…トップテンでは当時、初登場の歌手が出演しては豚のぬいぐるみを持たせて記念撮影をしていた。そのとき、郁恵ちゃんが「親子でブー」と言いながら撮るのがお決まりだったが、なぜ豚を使う理由があったのかは、今だもって謎。

星子♥宙太 恋の時刻表

Vol. 006 そんなセリフ迷っちんぐ! フキコ7

とにかく、あたしが宙太さんのような秀才でステキな人の赤ちゃんを産んだら、そりゃ、かわいくて頭のいい子が生まれるでしょうねぇ。末は博士か大臣か、それとも世界のビッグスターか――わぁ、考えただけで、胸がワクワク、心がキュンキュン。死んじゃう、あたしィ
~星子ひとり旅・イラストスペシャル②『星子♥宙太 恋の時刻表』(集英社)~ イッちゃってる度 …★★★★★

星子・宙太 恋の時刻表困った。ネタがない。そんな時のお助け本は、なんと言ってもコバルト文庫である。読者層の大半が思春期まっさかりの少女たちなので、セリフといい、設定といい、まさに迷っちんぐ度炸裂なのだ。

なかでも、この作品は、主人公の流星子が恋探しのひとり旅に出るたびに、なにかしら事件に巻き込まれるというもの。事件の遭遇率は、『家政婦は見た!』に登場する市原悦子並。そのうえ、恋にも大忙しの星子は、親同士が決めた許婚・美空宙太という男性がいながら、旅先で次から次へとほかの男を物色しており、コバルト文庫の峰不二子と言っても過言ではないだろう。女子高生の分際で、市原悦子と峰不二子を足して2で割る人物なんて、末恐ろしい設定である。

そんなキャラがウケてか、この小説は数多くシリーズ化され、ファンブックなるものまで刊行されているのだが、このファンブックがさらに輪をかけてヤバい。だって、シリーズの名場面集についた見出しのうちのひとつが、『命、狙われ、ついでにハートも狙われ…ドキドキの港町・横浜』である。命を狙われて恋どころではないはずなのに、ハートはドキドキなのか、星子。だが、次のページをめくってみると、さらに凄い見出しが飛び込んできた。『ラッセラー!粋な東北の夏に星子、胸キュン』…粋な東北の夏って一体どんな夏なのさ、ラッセラー。ごめんなさい、中身読む前に、もう見出しだけで一杯一杯(←ジオスの金城君風に)。

熱いですよ

Vol. 007 そんなセリフ迷っちんぐ! フキコ7

「ママのムースもいいけど、この前食べたラーメンおいしかったなぁ。なんだか懐かしいにおいがして…」「おだまり、純!」「ラーメンになにか恨みでもあるの、母さん?」「ううっ、ラーメンが…ラーメンがあの人を奪った……ラーメンが…」
~『熱いですよ』(小学館 少年ビックコミックス)~  熱血度…★★★★★

熱いですよ
妙ちくりんなメガネにマスクをかけ、息子の前に現れるパパ。一見不気味な風貌だが、ラーメン好きのあまりユキにたたき出された悲しい男なのである。

食べ物系漫画を読んでいて思うのが、ストーリーが笑っちゃうほどドラマチックだということだ。まず、ドラマチックの条件に、主人公は両親と不和であらねばならない。『美味しんぼ』※1の山岡士郎と海原雄山のように、実父との愛憎劇がさらに食への情熱を燃え上がらせていくのだ。『クッキングパパ』※2は…まぁ、幸せそうでなによりだが。

そして、今回紹介する『熱いですよ』(直球なタイトルだな)も、この条件を見事クリアしている。超一流デザイナーである味岡ユキの跡取り息子・純がラーメンに魅了されたことから物語は始まるのだが、なにせ、夫もラーメンにハマったのが原因で別れてしまったもんだから、これを知ったユキちん、さぁ大変。泣くわ、わめくわ、息子にラーメンを食べさせた雇い人を解雇するわの横暴ぶりを発揮する。かと思えばいきなり笑い出し、エプロン姿の息子に抱きつきながら、「さぁ、こんなものはずしなさい。フフフ…この子ったら、学園祭の模擬店のつもりなのね」なんて錯乱状態に陥ってしまう始末。

だが、父親だって負けてはいない。純がラーメン界に足を踏み入れてからというもの、教訓を記した紙を包丁に刺して立ち去っていくのだが、その血のりで書いたような文は、教訓というよりまるで呪い。こんな親を持った純はこの先ラーメン界で生き延びていけるのか、一抹の不安を覚える今日この頃である。

※1…別名『ビックコミックスピリッツ』のこち亀(私が勝手に命名)といわれるほど寿命の長いグルメ漫画。美食の理想を追求する新聞記者・山岡士郎の“究極のメニュー”と美食倶楽部会長・海原雄山の“至高のメニュー”でいつも料理対決が起きる。

※2…同じく『週刊モーニング』で長年連載を続けているグルメ漫画。こちらは手軽に作れる料理を紹介している。この漫画読むと、いつもお腹がすくのは私だけ?

BOYS BE…

Vol. 008 そんなセリフ迷っちんぐ! フキコ7

「よ、よう岸本」「あら露木君おはよう。今日はちゃんと傘持ってるんだ」「当たりだろ」—「お、来たぞ。よ、ご両人!相合い傘野郎」「なんだよ!」「昨日うれしそうに相合い傘してじゃねーか」「う、うれしくなんかねーよ」—「岸本ごめんな、相合い傘なんか書かれて」「いいの。それより私と噂されるのって迷惑だよね」「そ、そんなことないよ」「だってすごく怒ってたじゃない?…あーあ、私の気持ちも、ちょっぴり雨降りかな…」
~『BOYS BE… 新恋愛白書』(講談社) ~胸キュン度…★★★★★

vol008_guest_maitching.jpg
これぞ男を悩殺する必殺ポーズ“ちょっと腰をかがめて上目づかい”だ(筆者命名)!
「エヘ」と言いながら自分の頭をコツンとこづけば、さらに効力アップ。男どもを一瞬にしてイチコロ…なのか?

よく学校の友達同士で男性のタイプについて話す時、「優しくってぇ~、頼もしくってぇ~」というバカ女が必ずグループにひとりはいた。けど、女子だけに限らず、男子の中にも「優しくって、笑顔がかわいくって、髪からシャンプーの匂いがする女の子ってサイコーだよなぁ」とか「ちょっと勝ち気なぐらいがいいよな」なんて熱弁をふるうDQN男※1が必ずいたような気がする。たいていは小学生や中学生に多いんだけど、今思えば彼らはいつか出会う運命の女のコと登場する女のコを重ねながら、この『BOYS BE…』※2を毎週読みふけっていたに違いない。

確かに、ここに登場する女のコはかわいいよ。ああ、かわいいさ。笑うときには必ず「クスクス」って言うし、「エヘ」って言いながら舌出すし、後れ毛で色気を強調するし、パンツよく見せるし※3。そりゃ男じゃなくてもイチコロさ。けど、実際にこんなことを素でやる女なんてめったにいないし、仮に百歩譲っていたとしても、そんなものは男を騙すためのテクニックに過ぎないんだよ!と、私は声を大にして言いたいのであります。にもかかわらず、男はいくつになってもこの手の女にコロっと騙されちゃうんだから。ハン、もうフキコやってられないわん。そりゃ私だって美貌さえあれば…はっ、つい本音トークになってしまった。わかってるの、本当はもてない女のひがみだってこと。あー、せつねー。

これぞ男を悩殺する必殺ポーズ“ちょっと腰をかがめて上目づかい”だ(筆者命名)!
「エヘ」と言いながら自分の頭をコツンとこづけば、さらに効力アップ。男どもを一瞬にしてイチコロ…なのか?

※1…いわずとしれたネット掲示板『2ch』の用語。意味はそのまんま。ほかにも「ゴルァ!」や「マターリ」とかが個人的にお気に。

※2…マガジンで連載中の恋愛マンガ。少年誌には珍しくピュアな恋愛話が毎週展開される。こんなピュアな恋愛してたいよ、ホント。現実ってエゴ出しまくりだから。

※3…ほかにも偶然に胸がぶつかってしまう「胸ムニュ」なんてのも多い。本当に偶然か?

AOI・こと・したい

Vol. 009 そんなセリフ迷っちんぐ! フキコ7

「あおいくんの全快祝いしなくちゃ。プレゼントなにがいい?」「僕?僕が欲しいのは、ち・ひ・ろ。なにも今すぐってわけじゃないんだよ。その時までちゃんと予約してこうと思ってさ」「予約?」「そ、予約いたしました」「ヨ・ヤ・ク・サ・レ・マ・シ・タ★」
~『AOI・こと・したい』(小学館)~ エッチ度…★★★★

AOI・こと・したい
このマンガが発売されたのは、今から約15年前。なんでもかんでもローマ字で表現するあたりに時代を感じさせるよね。なんだかとってもNA・TU・KA・SHI・Iぞ。チョメ。

恥ずかしい話だが、私は高校のころ、殿方と付き合ったことが一度もなかった。それどころか、友達とつるんで駄菓子屋に通うのが毎目の日課だった。そりゃ、私だって男の子とポプラ並木通りを一緒に歩いたり(←菊地桃子の歌※1の影響)、駅のホームまで見送ったり(←斎藤由貴の歌※2の影響)したかったけど、奥手だったもんでね、当時は。キスやHなんてヒョエ~って感じだった。

そんなとき、クラスの友達がこのマンガを貸してくれたんだけど、コテコテの少女マンガのわりにHな内容に興奮したのを覚えている。なかでも、男のコが彼女の洋服を脱がして下着姿で抱き合うシーンがあるんだけど、そのとき彼女がいうセリフが―「夢見てたの。心も体もあおいくんとひとつになれる瞬間を…」―そして見つめ合い、抱き合うふ・た・り。カー!いいね。若いね。そんなセリフ、マンガだから許されるけど、絶対口にしないつーの。だけど当時の私にしたら、鼻血もん。もう目がギラギラなわけよ。で、次はどうなるの?どうなるの?とワクワクしながらページをめくると、お約束のように誰かが邪魔するのよね。最後はめでたく結ばれジ・エンド、いつの日か自分もこんな感じに~なんてため息をついていたものでした。

ところでいつも思うけど、結ばれるときはなんで必ずシーツを握りしめるのかしら。私?私はムフフっつーことで。

※1…84年デビュー。「卒業」の歌にあるポプラ並木でうんぬんという歌詞にとても憧れたの。伝説のバンド、ラ・ムーであんな歌を披露するとは夢にも思わなかった。

※2…84年デビュー。偶然だが彼女の「卒業」という歌にでるこの歌詞にも憧れてたのさ。制服姿でやかんを持つ姿がかわいらしかったけど、今や一児の奥さん。

あいつとララバイ

Vol. 011 そんなセリフ迷っちんぐ! フキコ7

「みんなもう集まってるかな。ほら腕くんでいこうぜ」「なんだなんだ、腕なんかくみやがって…友美ちゃん、いちだんとマブイじゃん。やる~~っ」「よーし、いくぞーッ…燃えるハートにタッチして、イカしたダンスでオールナイト♪」「わおっ」~
~『あいつとララバイ』(講談社)~青春度…★★★★★

あいつとララバイ
踊ってます、 踊ってますよ、 バカップルが。
若いってステキだわ~

バイクマンガといえば、『バリバリ伝説』※1と揃って有名なのがこの作品。しかし、そんな硬派なマンガも、連載開始は後期とはまったく対照的で、「ステップ青春ストーリー」という意味不明なキャッチが、なんともよく似合う内容ぶりなのである。主人公(菱木研二)は高校を留年したバイク野郎。しかも、好きな女のコ(佐藤友美)にすぐにちょっかいを出す軟派野郎で、校内放送を使って「もう気づいているだろう。そうお前のこと好きなんだぜ。本気だぜ。あったとたんに一目惚れさ」などと全校生徒の前で告白する始末。まさかと思いつつ、読み進めていくと、あ~ん、予感は的中。怒鳴り込んだ友ちゃんとのやりとりがマイクから筒抜けで、生徒全員大爆笑という…なんともベタなオチが展開されていくじゃないの。さすが「ステップ青春ストーリー」だわ。

さらに、告白シーンでは青春マンガお約束のハチャメチャぶりが炸裂。いろんな展開を経て、お互い自分の気持ちに素直になったはいいけど、ふたりは何を思ったのか公園で突然ダンスを始めてしまうのだ。しかも、「ほら月の光の下でステキなあなたと踊るのよ。ほらここでターンをきめたら、今度はふたりでジャンプ&シェイク…」と、読んでいるこっちが恥ずかしくなるようなポエムつき。月明かりをスポットに、公園で踊り明かすバカップルに、ああ幸あれ※2。

※1…『バリ伝説』の作者・しげの秀一は、 『頭文字D』でもおなじみ。ちなみにタイトルは、「かしらもじ」ではななく「イニシャル」と呼ぶように。

※2 …当初はこんなだったけど、後半は純粋なバイク漫画になったもよう。ちなみに全39巻刊行。


このページの先頭に戻る