
熱いですよ
「ママのムースもいいけど、この前食べたラーメンおいしかったなぁ。なんだか懐かしいにおいがして…」「おだまり、純!」「ラーメンになにか恨みでもあるの、母さん?」「ううっ、ラーメンが…ラーメンがあの人を奪った……ラーメンが…」
~『熱いですよ』(小学館 少年ビックコミックス)~ 熱血度…★★★★★

妙ちくりんなメガネにマスクをかけ、息子の前に現れるパパ。一見不気味な風貌だが、ラーメン好きのあまりユキにたたき出された悲しい男なのである。
食べ物系漫画を読んでいて思うのが、ストーリーが笑っちゃうほどドラマチックだということだ。まず、ドラマチックの条件に、主人公は両親と不和であらねばならない。『美味しんぼ』※1の山岡士郎と海原雄山のように、実父との愛憎劇がさらに食への情熱を燃え上がらせていくのだ。『クッキングパパ』※2は…まぁ、幸せそうでなによりだが。
そして、今回紹介する『熱いですよ』(直球なタイトルだな)も、この条件を見事クリアしている。超一流デザイナーである味岡ユキの跡取り息子・純がラーメンに魅了されたことから物語は始まるのだが、なにせ、夫もラーメンにハマったのが原因で別れてしまったもんだから、これを知ったユキちん、さぁ大変。泣くわ、わめくわ、息子にラーメンを食べさせた雇い人を解雇するわの横暴ぶりを発揮する。かと思えばいきなり笑い出し、エプロン姿の息子に抱きつきながら、「さぁ、こんなものはずしなさい。フフフ…この子ったら、学園祭の模擬店のつもりなのね」なんて錯乱状態に陥ってしまう始末。
だが、父親だって負けてはいない。純がラーメン界に足を踏み入れてからというもの、教訓を記した紙を包丁に刺して立ち去っていくのだが、その血のりで書いたような文は、教訓というよりまるで呪い。こんな親を持った純はこの先ラーメン界で生き延びていけるのか、一抹の不安を覚える今日この頃である。
※1…別名『ビックコミックスピリッツ』のこち亀(私が勝手に命名)といわれるほど寿命の長いグルメ漫画。美食の理想を追求する新聞記者・山岡士郎の“究極のメニュー”と美食倶楽部会長・海原雄山の“至高のメニュー”でいつも料理対決が起きる。
※2…同じく『週刊モーニング』で長年連載を続けているグルメ漫画。こちらは手軽に作れる料理を紹介している。この漫画読むと、いつもお腹がすくのは私だけ?
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