
その5
いつものように歌舞伎町を闊歩してたんだよ。
近頃この街ったらよ、ビルは燃えるわ若造は吠えるわ娘は肌さらすわ親父は吐くわ。ったく、18年前の、瑞々しく活気に満ちたダンサーのステージ・カブキタウンはどこいっちまったんだ。あん頃はよお、オイラのダンス合図に人が集まってよお、マイケルのスリラーよろしく皆でゾンビダンスに興じたもんだぜ。それが今じゃこのザマだ。オイラの華麗なステップに振り向く奴なぞいねえ。へっ。ばかやろう。
ま)いてっ。おう!なんだきさまは。いきなり殴りやがってこのやろう!
て)あ、いや、ちょっと、街にむかってパンチしたら当っちゃってよ。許してね。
ま)ふざけんなこのやろう!オイラを誰だと思ってんだ!
て)しらねーな。ワシは哲。よろしくな。バキイッ!
ま)うぐっ!へっへっへ。なかなかいいパンチじゃねーか、テツ。でもね、歌舞伎町っつったら政なんだよ。ボムッ!
て)なにおう!
ぱんぱぱぱんぱん、
どどんどんどどどん、
しゅっしゅっしゅしゅっ。
ハァハァハァハァ。
て)おうマサ。なかなかやるじゃねーか。
ま)そっちこそ。気に入ったぜテツ。
て)なかよくやっていこうじゃねーかマサ。ツーツーツーツー。
ま)おおっ!そ、それは!ムーンウォーク!!
て)へへへ。マイケルに乾杯。歌舞伎町に乾杯。
ま)く~!泣かせるぜ!よおし!踊ろうぜテツ!
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