
フリーマガジン - エンライトメント
MACの普及によって印刷物の制作がカンタンに安くできるようになり、個人やグループ制作によるフリーペーパーが、たくさんでまわるようになった。その多くが個人の作品発表ツールとして無料配布されている。
一体何故?「自己満足」などと語られる事の多いフリーペーパーだが本当にそうなのだろうか?フリーペーパー「TRACK」を発行する、エンライトメントのヒロ杉山氏をはじめ現在活躍中の制作者にインタビューする、f-dex第一回の特集。フリーペーパーの「気持ち」がちょっとだけ見えてくる・・・?

- f-dex(以下F):お忙しいところ本日はよろしくお願いします。最初にエンライトメントについてお伺いしたいのですが「エンライトメント」という名前の由来を教えてください。
- ヒロ杉山(以下H):MACを使うようになってからスタッフが増えたので、この名前を使うようにしています。辞書をひくとわかるんだけど「啓蒙する」とか「暗いところ照らす」という意味です。
- F:響きもかっこいいですよね。
- H:でもね…「エントラップメント」っていう映画があったでしょ。みんなあれと間違えるんだよね(笑)。郵便物とか「エントラップメント」って書いてあんの(笑)。一同爆笑…(笑)
- F:TRACKはエンライトメントで作られているんですよね?
- H:はい。エンライトメントを始めて半年…3ヶ月位たってから始めたのかな?今まで自分の作品集や小さい本をたくさん出して売ってたんだけど、フリーにする事や版権を大きくする事で、エンライトメントのやりたい事を自由に表現できる、という事で始めたんです。それまで僕は個展を年に2回位やってたんだけど、個展というものに疑問を感じ始めていて。ギャラリーだと1週間とか期間が短いでしょ。来てもらう人も限られちゃうし、本当に見てもらいたい人はなかなか忙しくて来れなかったりするし・・・そういう事もあって、個展の代わりに8ページの紙面で自分の作品を発表をしようと、そんな所から始まったんです。
- F:TRACKのコンセプトは個展なのですね。
- H:そう。紙の上での個展のような考え方ですね。来てもらうんじゃなくて、こっちから送れるし、本屋に置いてあってそれをみんなが持って帰る、そうすると持って帰った家でまた違う人が見たり…明らかに見る人の数は増えてくる。もう一つ大きいのは海外に送れるっていう事ですね。半分ぐらいは海外に送っちゃうから。
- F:半分?というと1500部・・・だから日本に無いんですね。
- H:ニューヨーク、ロンドン、香港、パリ、オーストラリア、ドイツに送ってます。その中にパリのコレットっていうセレクトショップがあるんですけど、TRACKを見たオーナーが「うちで展覧会をやりませんか?」と言ってくれて・・・それで1月に展覧会をやってきたんです。

- F:コレットでの個展はどんな感じでしたか?
- H:大成功でした。スタッフみんなで行ってね、社員旅行も兼ねてたんだけど(笑)。コレットって、洋服・本・雑貨とか何でも売ってるところで、みんなセンスの良いものなんです。その中にアーティストスペースのような展示できるスペースがあるんです。日本人だとホンマタカシさんが1回展示やってますね。そこにTRACKの過去のものやコレット用に新しく作った作品を展示してきました。コレットは世界中の人が立ち寄るようで、個展が終ってから色んな所からメールが来ました。「パリで見たんだけど、あのTRACKは手に入らないの?」とか「うちの雑誌で紹介したい」とか。
- F:TRACKのサイズ(297mm×372mm)は、少し特殊だと思うのですが、コンセプトと何か関係があるんですか?
- H:そうですね。自分の中ではもう少し小さめを考えてたんだけど、一緒にやってるGRAPHという印刷屋さんが「どうせ作るなら、もっと大きく作りましょうよ」って言ってくれて、あそこまで大きくなりました。あとは紙取りの関係で効率良かったから…って感じかな。
- F:紙質は毎回同じですか?
- H:たまに違う時がありますけど、大体は一緒ですね。普通の紙で特殊な紙ではないんだけど、両面にベットリとニスを塗ることで、ちょっと変わった質感を出しています。
- F:入手するのがなかなか大変なのですが.…。
- H:今後はシステムを変えようと、ちょっとお休みしています。もうすぐ再開するから、そうすればまた本屋とか色んなところに出ると思うよ。

- F:ホンダとTBCのお仕事はTRACKがきっかけで始まったという事ですが?
- H:うん。ホンダは、ADの青木克憲くんがTRACK3号目のクルマのイラストを見て、すぐ電話をかけてきて「今ちょうどプレゼンをしようとしてるとこで、こういうイメージでやりたいから、他の仕事がきても受けないで欲しい。」ってキープされて…。プレゼンでは3案ぐらい出したみたいで、もう少し写真ぽい案や、わりかし普通の案があったので、まさかあのイラストのが決まるとは思わなかったんだけど、ホンダ側が「これで行きましょう」って事になって…。決まってから結果がでた感じ。TBCの方は、博報堂のADの佐藤可士和くんが、TRACK1号目のナイキを見て「こういうので顔ができないか?」っていう話をされて。その時にちょうど7号目で顔を作っていたので「実はもう顔を作りはじめてる」、「じゃ、ちょっとそれを見せて」、「これはおもしろい!」って事で決まりました。
- F:キムタクの顔はすごい話題になりましたよね。
- H:うん、そうだね。全部で5本作ってるんだけど、1本目だけはハリウッドで、あと4本はこっちで作りました。今、ちょうど4本目を作ってるとこです。
- F:あの動き(カクカクッ)が不思議ですよね。
- H:うん。ナゾだよね(笑)。1本目が顔のアップでしょ。2本目が宇宙船みたいなので、3本目がリムジン、今作ってるのが書斎なのね。本棚のあるようなリッチな書斎。
- F:あ、書斎のものは絵を先に見ました。
- H:それのCM版で、最後はボート。それが4月ぐらいに出ます。
- F:それは全部、TRACKから始まったものなのですよね。
- H:そうですね。理想的と言えば理想的で、自分達のやりたい事をやって、それが仕事に繋がっていくっていう感じ。それをADの人が企業にプレゼンしてくれて、仕事がまわっていくという。やっぱりイラストレーターって受け身じゃないですか。電話がかかって来てから絵を描くみたいな。そうじゃなくって、僕はもっと攻撃的に行きたいなっていうのと、自分をアピールしていきたいなって…。個展もそうだしミニブックもそうだし、何か仕事が来る前に僕は自分から何をやりたい、何ができますっていうのをアピールしてプレゼンして行きたい。ただまぁ…本にしても何にしてもお金はかかるけど、それは先攻投資みたいなものだし。そこを惜しんじゃうと、電話かかってくるの待つ事になるし。最初にお金はかかるけど、それで仕事が来れば取りかえせる訳じゃない?そこをどういう価値観で判断するか、なんでしょうね。
- F:フリーペーパー本来の意味って何だろう?って考えさせられます…。TRACKのようにフリーペーパーの役割がきっちり果たされているのは凄いと思います。
- H:僕の場合GRAPHっていう理解のある会社がちょうどそばに居たから、それもすごくラッキーだったと思うよ。
- F:GRAPHさんとはどういう出会いだったのですか?
- H:一番最初に出した小さな写真集があるんだけど、自分でカラーコピーで作ってたのね。セブンイレブンとか行って。で、それがすごく気に入って、カラーコピーだけで終らせるのがつまらなくなって、オフセット印刷で大量に作りたいって思ったんでGRAPHに相談したら、色んなアイデアを出してくれたんです。オフセットだけどカラーコピーのように印刷してくれたり。こんなに色んなことやってくれる印刷屋さんがあるんだと思って…そこからですね。それでミニブックとか色々作りはじめて、やってくうちに「実はこんなアイデアがあるんだけど」ってフリーペーパーのアイデアを出したら「面白いからやりましょう!」って事でTRACKが始まったんです。

- F:TRACKを作っていて、良かった事、悪かった事はありましたか?
- H:悪かった事は…ないかな。良かった事はたくさんあったけどね。悪かった事っていうんじゃないけど、やっぱりそれなりに時間かかるし、大変は大変ですよね。
- F:話しは変わりますが、最近熱中している事は何ですか?
- H:なんだろうなぁ?何ですかねぇ…。絵を描く事が熱中してるけどね。趣味ってないからね。
- F:そうなんですか?もうヒマさえあれば絵を?
- H:うん。ほら、趣味を作っちゃうと、絵を描く時間をとられるから…。趣味は絵を描く事だからね。もちろん仕事で頼まれた絵とは関係なく自分で描く絵もあるから、普通の人の倍は時間がかかるよね。
- F:ゲームなどは作りたいと思いますか?
- H:全然思わない。作ってる友人はいるけど、2年とか3年かかって作ってるから、ああいうの見てると僕はできないなぁって思う。僕せっかちだから、すぐ形にしたいタイプなんだよね。テレビゲームとか見て面白そうだなって思うんだけど、時間かかるじゃない。やらないけどすごい興味はあります。
- F:本日はお忙しい中、どうもありがとうございました!
2000.3.8 エンライトメントにて
プロフィール
ENLIGHTENMENT(エンライトメント)ヒロ杉山。1997年にアート集団「エンライトメント」を設立。木村拓哉のCGイラストレーションで話題となったTBC(東京ビューティーセンター)、ホンダHRVなどのコマーシャルで一躍注目を集める。 枠にとらわれない発想やセンスのもと、常に新鮮な表現を生み出すことで、広告、雑誌、音楽関連など多方面で活動している。
ナウ3 - タイクーングラフィックス
今を聞く。今のブーム、今の感じ、今の生活、今の事。それぞれのマイブームをみると、「今」がみえてくる。
今回の特集「ナウ3」では、若者のデザインブームの、いわばシンボル的存在ともなったデザインユニット「タイクーングラフィックス」へのインタビュー。

特撮専門のセットと本物の火星なんです
- f-dex(以下F):最新のお仕事では、Wranglerの広告や14(FOURTEEN)の「種」のミュージックビデオをやられていますよね。それ以外のお仕事についてお伺いしたいのですが。
- タイクーン宮師氏(以下M):あ、じゃあ「火星」とか出してみる?
- タイクーン鈴木氏(以下S):そうだね。
- M:テイトウワの新しいシングルが出るんですよ「火星」って言う。そのジャケットが新しいです。まだ色校ですが。
- S:これはアナログ版。(と、ジャケットを見せて下さる)。
F:わぁカッコいい!それになにか面白いですね(笑)ウルトラマン・・・?- M:そう。本当にウルトラマンをやってる特撮専門の所で、湖などのセットもちゃんと作ったんですよ。撮影も東宝のスタジオで。裏面はNASAのウエブサイトから引っぱってきたの。
- F:えっ、本物なんですか?
- M:うん、本物の火星の写真です。勝手に使えるんですよ。
- S:あとはなんだろうな…Wranglerと…。
- M:あとWガールだ!Wranglerの女の子バージョンのやつ。
- F:えっ?仮面のですか?
- M:仮面じゃないやつ(笑)。もっとかわいらしいやつを作ってる最中なんです。昨日、その発表会があってそのビジュアルを作ったんです。
現在、16アーティスト
S:今は音楽物が結構あるよね。- M:この間数えたら、現在16アーティストもやってるんですよ。
- F:す、すごいですね!
- M:ね~。連休前だって一週間のうちに撮影が5本もあったもん。他にCDでは…今井美樹ちゃんとか…。
- S:相川七瀬とか。
- M:CD、ここにきてまた多くなったね。
- S:うん。今月は特にね。
- F:現在かなりCD寄りなのですか?
- M:いや気持的には60%位かなと思っていたんですよ。でも75%位はCDかな。もっと色んな事やりたいんですけどね。
- F:色んな事とはどういう・・・
- M:全部!欲張りなんで(笑)
- F:ビデオなど?
- M:うん、ビデオ作りたいですね。基本的に映像も好きなんで。映画も作りたいです。いつの日か!
- F:どのような感じの映画を作りたいのでしょう?
- M:やっぱ笑えて、映像的にカッコ良くて、それでこうグッとくる感じっ!ふふふ(笑)
- F:サムライフィクションが近い・・・?
- M:そう!そう!まさにそう!
デジタルとアナログ
- F:現在、デジタル作業が多いと思いますが・・・
- M:どうでしょう(鈴木さんに)
- S:うん、最近は全部コンピュータだね。
- F:ウエブデザインは・・・。あ、テイさんのHPをデザインされているのですよね?
- S:うん、唯一ね。
- F:ウエブのほうは、どうでしょう?
- M:うーん、あまりわかんないっていうか。
- F:やはり紙のほうが。
- S:そうだね、刷り上がる時とかいいね。
- F:Macに変わったのはi-Dジャパンの時からとの事ですが、初めから全部Macで作られていたのですか?
- S:いやぁ、あれは全然デジタルじゃないですよ。
- M:超アナログだよね。
- S:Mac入れて、一応レイアウトを…っていうか、材料だね。文字を作ったりとか。
- F:(i-Dジャパンでは)すごい複雑なレイアウトがあったのですが、どのように作られていたのでしょうか?
- S:あれは指定。カッターで切って(笑)。(ここでf-dex、i-D JAPAN`93年1月号を取り出す)
- M:あ!これ保存状態良いですね。
- S:デジタルっていう面で言えば…このタイポを谷田が作ったんですよ。
- M:アタリとりも大変だった。トレスコとかでやってたのかなぁ?
- M:ここが唯一デジタルかな?(i-Dを見て)
- S:i-D今ないんだよね。
- F:創刊号がこの間パルコに売ってましたよ。
- S:テリージョーンズさんがやってたやつ?
- F:そうですね。
- M+S:宮沢りえの表紙のやつだ!
タイクーン的生活
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タイクーングラフィックスの仕事と周辺 六耀社 2,800円F:GWや連休などは?
- S:暦通りに休もうと思ってたんですが、2日出たね。
- M:うん出た。
- F:この間、ヒロ杉山さんがマイアミに行かれたとおっしゃってましたが。
- S:マイアミはみんなで一緒に行きました。
- M:グラフィッカーズの男7人で行ったの。
- F:では向こうでやはりクラブイベントなどを?
- M:うん、ダンス!
- S:踊るよガンガン!
- M:Samも鈴木には一目おいてるね!(笑)(一同爆笑)
- F:あと、「仕事と周辺」をみると「ヘリと馬」で出勤されているじゃないですか。本当は何で出勤されているのですか?
- M:クルマ。
- F:車は何に・・・?
- M:ポルシェです。
- F:うぁぉ~!
- M:鈴木はミニ。
- F:何色でしょうか?
- S:あの本(仕事と周辺)に載ってるやつと一緒。
- F:あの目玉がついてる?
- S:そうそう!あんな目玉はついてないけどね(笑)
- F:「仕事と周辺」には、1時半にご就寝との事とありますが?
- M:いやぁ、乱れる時もありますよ。でも、鈴木はちゃんとしてるよ。
- S:遅い時も早い時もあるけど、来るのはだいたい一緒。
- M:俺はバラバラ。集中力が持続しないんですよ。落ち着きがないんです。ガーッてなった時はガンバルんですけど。
- F:持続しなくなってしまった時は、どうするんですか?
- M:いや…もうやめますよ。友達と会ったり音楽聞いたりして。でも締め切りあるからね(笑)自然と意識してると思うから。
- S:だいたいアレだよね。昼間打ち合わせしたり、考えたりして、作業するのは夜だよね。
重なって・・・!?
- F:話は変わりますがお酒がお好きだという事ですが?
- M:ピシッ!(と鈴木氏を指す)
- S:お前だって好きじゃない!(笑)
- M:弱いんです、僕は。すぐ顔に出るから。あまり量は飲めないですね。
- F:谷田(一郎)さんがよくいらっしゃって、お酒をおごってもらっていたそうですが?(笑)
- S:あの時はねぇ…。バー「青山」ってとこに、仕事終わるとほとんど毎日行ってたね。谷田に夕飯おごって、酒おごって。売れたら返せよっていう…。そろそろ返してもらわないとなぁ(笑)
- F:仲間が皆さん、売れっ子じゃないですか?それがスゴイなと。
- M:でも、ただのオヤジですよ(笑)マイアミの写真とかヤバいもんなぁ。
- S:さえないヤツだよね。
- M:さえないよね~(笑)
- F:ヒロ杉山さんと同級生だったんですよね?
- S:うん。
- F:その時はやはり「3人でスゴイ事をやるゾ!」っていう感じはあったのですか?
- S:何かしらそういう風に思ってたと思うけど…杉山くんは最初から湯村さんの所に居て、課題もちゃんとやってた。サボってると電話かかってきて「ちゃんと出さないとダメだよ」って言われてた(笑)谷田もそれにつられてさ、あいつはスポンジみたいな奴だから、どんどん吸収して…。杉山くんと谷田はいつも一緒にいたよ。一緒に狭いベットで泊まったりしてさ(笑)
- F:えー!
- M:マジ!?
- S:うん。シングルの半分位のベットに川の字になってさ…あ、川の字じゃないか(笑)
- M:重なって?(一同爆笑!!)
毎年外国へ行きます
- F:それでは、現在のコレ!という「ナウ3」をお願いします。
- S:なんだろな~。イタリア語は習ってるけどね。
- F:えっ!将来イタリアに行かれる計画などあるんですか?
- S:うん。住みたいなって思ってるけどね。
- F:それ以外の国へは行かれないのですか?
- S:うん。あんまり興味がないんだよねぇ。
- F:アジアなどは?
- S:アジアねぇ…。何かちょっと…呼ばれてないって感じかな…。あんまり興味ないかもしれない。毎年イタリア行って、どの位上達したかなって確認したいのもあるしね。
- F:なるほど。
- S:前の先生が国に帰っちゃったから、家に遊びに行ったりして…。
- F:イタリアの家庭料理!おいしそうですね~。
- S:うん。ちゃんと話せないから、酒飲んで酔っぱらって盛り上がるっていう…(笑)
- F:はっ!やはり、またお酒…。
- S:はははは(笑)
- F:宮師さんは興味のある国はどこですか?
- M:ん~島が好きかな?バリとハワイ。あとやっぱニューヨークは1年に1回は行かないと元気出ないって言う感じだね。
お茶を習う!?
- M:「ナウ3」なんだろうな~。
- S:う~ん。じゃあ『イタリアと建築』。早いもの勝ちだからね(笑)。あとは『そば』だ。
- F:『イタリアと建築』と『そば』…(笑)と『旅行』ですね。
- S:趣味は「イタリア語」って書いて下さい。
- M:カックイイ~~(一同爆笑!)
- M:俺も言ってみたいなー。「趣味はイタリア語です。」って…(笑)
- S:習ってたじゃん!自分だって…。
- F:え!?何を習ってたんですか?
- M:俺は「英語」ですよ。
- S:あとちょっと前に「お茶」とかやってたよ。
- F:え~!!宮師さんが「お茶」ですか~!?
- M:うん「お茶」!いいかなーと思って。
- F:な、ナゼですか??
- M:色々あった時で、気分をパーッと変えたいなぁと思って…。で、行ったんだけど、何か居心地悪くて…三ヶ月くらいで辞めました。何て言うか中に入っていく感じが、俺とまったく逆だなと思って。俺どっちかって言うと外に開いていく感じなので…。
Tシャツつくっちゃいました
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G-MENM:あとはねぇ「イルカに逢いに行く」!!今年行こうかなと思って…。
- F:カッコイイ!!「イルカと泳ぐ少年」
- M:…「中年」。(一同笑)
- M:あとは「ラーメン」!青山にある「武蔵」っていう所なんですけど。ニューウェーブ系の和風ダシのうまい店。そこのラーメンが好きで、勝手にTシャツまで作っちゃったんですよ。
- F:え~!!
- M:「MUSASHI MEN」!っていうヤツ。
- F:ヒー!かっこいい~。それはもう着て行かれたんですか?
- M:いえ…それはまだ恥ずかしくて着て行けないんです。
- S:あははは(笑)そうね皆でラーメンブームだったね。札幌ラーメン食べに行ったりとか、小樽とか…
- M:あとは何だろうな~。あ、そうだ!あとは『本を作る』!作る事を決めたんです。
- F:それはデザイン本ですか?
- M:うん。「G-MEN」みたいなのとか…
- F:「G-MEN2」を?
- M:いや…それは言ってるだけで全然できなかったんですけど。新しいヤツを1冊作るんです。今年に。
絵は誰でも描けるもの
- F:鈴木さんは絵を描かれるとお聞きしたのですが、宮師さんも描かれるのですか?
- M:絵は描かないですね。いつか描く日が来るかもしんないけど。描きたくなったら描く。絵は好きだしね。
- F:デッサンなどは?
- M:全然(笑)ハッキリ言ってデッサン力はないですよ。
- S:だって理工系だもんね(笑)
- M:機械工学勉強してたら、デッサン力ないでしょう。
- F:鈴木さんは?
- M:いや、オレもないけどね(笑)
- F:学校などで描かれてたんですよね?
- M:うん。まぁね…。ほら、憧れるじゃん!イラストレーターになりたいって。
- M:基本的に絵なんて誰でも描けますからねぇ…。世界中の人が。
- F:そうですよね。あとはやはりセンスなんでしょうかね?
- M:センス…なのかどうかは分からなないけど、誰でも描けるなって思いまなすけどね。
- S:それを商売にするんじゃなかったらね。
シャンパンが好き!
- M:さっき言った本は「シャンパン」って書いといてください!
- F:シャンパンですか?
- M:シャンパンの本を作ろうと思ってて。
- F:お好きなんですか?
- M:大好きです。
- S:フフフ…お酒好きじゃん!
- F:ははは(笑)私達も今アレっ?って思ったんです(笑)
- M:好きでーす!(一同爆笑)
- F:なぜシャンパンがお好きなんですか?
- M:そうですねえ…楽しいっていうか、はじけた感じが分かりやすくていいかなと。
- F:お祝い事と言えば、やはり一発?
- M:そうですね。何でもかんでもシャンパン一発ですね。
- F:今日はお忙しいなか本当にどうもありがとうございました!!
2000.5.12 TYCOON GRAPHICSにて
プロフィール
TYCOON GRAPHICS(タイクーングラフィックス)。鈴木直之・宮師雄一。1991年タイクーングラフィックスを設立。音楽、ファッション、コスメティックを中心に広告、CI、パッケージデザイン、エディトリアルのアートディレクション及びグラフィックデザインを行っている。
コワイモノ - 楳図かずお
コワイモノ…幽霊、不思議体験、あぶない事件。夏と言えば恐怖特集が組まれるが、怖いものって心霊体験とは違う所にも、あるような気がする。
恐怖といえばこの方!
漫画界の大巨匠、楳図かずお氏に「コワイモノ」を聞いてみた。
6か国語の勉強について
- f-dex(以下F):ここ数年、やられているという外国語のお勉強の方はどうですか?
- 楳図かずお氏(以下U):ええ、ずっと続けてて、ラジオはテープに録ってます。
- F:外人さんのいるバーとかで実践したりするのですか。
- U:実践はまだ。えっ、バー!?バーなんて行った事ないですよ!(笑)
- F:お酒はのまれないのですか?
- U:おいしいごはんの時に少しのみます。
こわい…!!
-

奈良県五條市出身。
「洗礼」「漂流教室」「まことちゃん」「私は真悟」等、数々の名作を発表してきた日本漫画界の鬼才。F:以前…トイレでの恐怖体験があるとか?
- U:あれは、こわかった!よく聞いてくれました!トイレについては是非聞いてもらいたかったんです~(後程、事実がわかる事に)いつもの通り、用をすませてレバーをギッとやりましたら、普通は、ふぉふぉふぉーんって中にはいっていくと思うでしょう?それが逆にブオーって戻ってきたんですよ!どんどんあがってきて、次は風呂の中からも!「ヤバイ!このままでは出てくるぞ!オソロシイモノガ!」って慌てて雑巾とかで防波堤を作ったんです。それからバケツでくんでドアの溝に捨ててったんですよ。ウチの隣の部屋の人もソファとかベチョベチョになったのを出してるし。下でも大変な事に!原因は、水道管の中のオモチャ。ウチの隣のお子さんがオモチャ流していたんですね。下水管も手抜き工事でおかしくて、両方でダメだったんですよ~。
- F:ひぃぃ~!あ、あと当時、鍵で、色々あったとか。
- U:今は、もう絶対なくさないようにホラ!(体にくっついている、鍵の数々)
- F:おお!以前、家に入られそうになった事もあるとか。
- U:そう!その時、朝方眠りこけていたんですよ。目が覚めたら入り口のドアが、ガッチャ・・・って開くんですよ~!
- F:こわいぃ!!
- U:こわいでしょ~!僕は当時鍵をよくなくしてて、開ける方法として、外の共同炊事場にある包丁を鍵穴に入れてたんですよ。で、その時ハッと起き上がったら、ガチャッと音がして、デデデデッと走っていく音がしました…
- F:デデデデ…ですか!
- U:デデデデっ。で、開けるとそこに包丁が落ちてましたもんね。
- F:きゃ~!
U:それから高田馬場に移ってから、ちょうど「漂流教室」描いてる時だったんですけど、たまには缶詰めになってみようと思って、ホテルへ行って、終わって仕事場に戻ってきたら刑事さんが2人来て「実は、あなたのいた部屋の下に韓国の大統領、金大中さんがいたんです」と言うの。そのとき金大中さんは拉致されちゃったんだけど、僕が部屋を出た時が拉致される直前だったようで「あなたが部屋を出たときに、金大中氏とすれ違っているハズなんです」と言う。何か覚えてますか、と言われたんだけども、何も覚えてなくて。それと後でわかった事なんですけどマンションに入るとき紹介して下さった不動産屋さんが金大中さんの面倒を見ていた方だったらしいのですよ。- F:わーなんか繋がってますねぇ!
- U:繋がってますでしょー…って、どこも繋がってないですよ!(笑)
- F:なんかちょっと不思議でこわい話ですねぇ
- U:あと僕は恐い所には近付かないようにしてるんです。霊とかはあまり信じてないんだけど、絶対そういう所へは行かないですね。
- F:前に吉祥寺で住んでらしたマンションで怖い話があったそうですが…
- U:そうなんですよ~。不思議な事にマンションによくヘアピンが落ちていたんです。ある時はカバンの中に入っていたり。女っ気ないしそんな憶えはないのに。
- F:ひぇ~!!
- U:僕の隣に住んでいた女の人は「うちは指輪がまがるんです。」って言ってました。その人とは今でも時々会うんですが、最近は出ないみたいで「楳図さんが持っていったんじゃない?」って。でも確かに、引っ越してからもアレ?と思うような所にヘアピンがあったり…。
- F:う~ん、不思議ですね~。
原稿がなくなる恐怖!!
F:こわい話と言えば、家や展覧会で保存していた作品がなくなるという事があるとか…?- U:こわいですよー。この間の展覧会でも展示中「そろそろ厳重に警戒して下さいね」ってある人に注意したんですよ。そしたら、次の日に「盗まれました」って。
- F:えー!
- U:それが額縁ごと。警備は3人いたし受付もいたし。…わかんないですよね~。それから去年の展覧会の時にも写真のアルバムごとなくなって。
- F:写真ってプライベートな?
- U:そう。開催途中で「前回、こういうことがあったので絶対なくさないで下さい」って言ったのに、ケースで飾っていた写真、後半近くでなくなってて。終わってから「輸送中になくなった」って言うんだけども。
- F:そんな~
- U:ねーオカシイでしょう。作曲した楽譜もなくなっちゃっていて。
- F:「闇のアルバム」のですか?
- U:ううん、発表してないやつ。そうそう、その中の「サンダラマンダラ愛の呪文」っていうやつに『アイアイヤイヤイヤ~』っていうところがあるんですけどもある曲のアレにソックリなんですよ!
- F:ええっ、じゃあ先生が最初だったんですか!
- U:はい~(笑)歌はクワトロで約10年前にやってるんですけど。
- F:犯人は、つ○くサンかも!?(笑)
U:とにかく一般の人ではどう考えてもオカシイんですよね…アッ、ごめん!(ここで席を立ち、英会話ラジオの録音セットに行く楳図氏。戻ってきて)バッチリ!…で、原稿ですね。部屋の中にあったのもなくなっちゃって。キレイな原画ばっかり集めて隣の部屋に置いておいたんですよ。その部屋はお客さんもほとんど誰も行かないとこなのに、ある時見たら袋ごとなくなってて。- F:イヤな感じ…。
- U:みんな怪しく思っちゃって。部屋に訪ねて来るファンらしき人とかも怖くなっちゃった。「恵まれない子供の為にサインをください」って来た人もいました。
- F:変なの。
- U:そうでしょう。『半魚人』の生原稿と『老人』ていう色のついた作品なんか、明らかに取られたんじゃないかって疑う事件があったり…なんかもうショックですよ。だからもう、原画の持ち出しっていうのはやらないことにしました。昔の写真がないもんだからTVの「波乱万丈」の出演の話も受けられないんですもん。
- F:う~ん自分でみて楽しんでいるのかな。原稿ってどうなってるんでしょうか?
- U:出回ってるんですよ、原画が売られているらしいです。
- F:そうだ、ネットのオークションで原画にサインしているものがでてました。
- U:え?原画にサインなんてしないけどなぁ。色紙だったらあるけど。
- F:ほんとヒドイ!そういう人達に何か一言どうぞっ!
- U:そんなことで楽しみとか生活にしてるんなら報いがきますよ。それほど世の中甘くない。やっぱり僕はね、生き方って公平にできていて、上がったら下がる。取ったら取られる。だと思うんです。だから僕も取られた分どこかで何か戻って来ると思っています。せめてですけど。
- F:ほんとですよね。
歌を出します!!
-

8月にNHKみんなのうた「むかしトイレがこわかった」をリリース!思わず口ずさみたくなるようなポップなリズム!f-dexおすすめです!U:最初にトイレの話を聞いていただいて、それが僕はとても縁起がイイナと思ったの。何故かと言うと、今度NHKの「みんなのうた」で出す新曲がトイレに関するものなんですよ。なので最初の質問は縁起がよかったです~。
- F:わ~!いつ聞けるのですか?
- U:もう録り終わりまして8月に放送ですね。
- F:それは作詞作曲?
- U:あと歌も僕です。えへへ、内心は大ブレイクしたのを色々想像したりして…
- F:紅白に出ちゃうとか!
- U:な、なになに?紅白!?わぁっ、口が裂けても言っちゃいけないことをーっ言ってしまったーっ。そうっ、それ考えちゃったりしますけど!わぁー!
- F:(爆笑)あ、本屋さんにいったら、先生の作品は即効売れてしまうのだとか。作品でブームがきて、歌でブームがきて、大ブレイクしちゃうかも!
- U:(笑)そして富士山から噴火するように東京の上でバーン!と(笑)なんだろなんだろって見てみたら、実は、楳図かずおが大爆発していた!!ギャッ!とか(一同爆笑)
通報される…
- F:お散歩していて通報された事があるとか?
- U:(笑)そういうのはよくあるんですよ。散歩してると、おまわりさんがダーッときて、僕をみて「ああ…なんだ、楳図さん」ってUターンしていくんですよ。で、「あ、誰か通報したな」と(笑)あと田舎の山道を歩いてた時、銀色のコートに赤い鞄ナナメにぶらさげて歩いてたんですね…
- F:ぎゃっ、こわい
- U:なに~こわい?(笑)こわいって言いませんでしたかぁっ!?
- F:あ、いやカッコいい~(汗)
- U:その時農家のお爺さんが、いま通った赤い鞄下げた男が・・・って話してるのが聞こえたんですよ。そしたらパトカーがウィウィーンって!「火の用心して下さい」ってアナウンスしてるんですよ~もう、田舎の人達はやりすぎです!
- F:(笑)楳図さんは、派手すぎですーっ!
機械と楳図氏
F:コンピュータは?- U:う~ん何だか相性が悪いんですよねー。
- F:「わたしは真悟」はコンピュータの世界ですよね
- U:あれは頭の中の世界ですから。それが現実になると関わり合いたくないっていうか(笑)。NHKの曲も自分で作ろうかとやってたんですけど、面倒臭くなっちゃってMacもただの箱に・・・
- F:じゃあ、インターネットとかも全然?
- U:全然!興味もないです。
- F:繋がる感覚ってどうですか?
- U:うーん、どうなんでしょう。真悟の中では繋がりまくるんですけどね。あれは世の中の流れが繋がるということで、コンピューターそのものという意味ではないんですね~。
- F:世の中の流れ。楳図さんの作品は未来が見えているような。
- U:そんなことは(笑)でも、これからどんな風になるかと言うと「14歳」風になっていくと思うんですね。「14歳」の中で、人間がモノになったり、実際にいない生物を作ったり…あの方向に行くだろうなと。あとゴミ。これは真悟の時から気になってゴミがいっぱい出てくるんですけど。あれはいずれ地面の奥深く、溶岩に混ぜちゃうのでは、と思っていますね。
- F:お台場とかの景色って「14歳」の街の景色のような。
U:「14歳」の電車は、内とホームの外にドアが二つになってて、お台場の電車と同じなんですね。- F:すごい!やっぱり未来の物がわかる!?
- U:なにげなく描いちゃうんですね。「14歳」の時はやたらスケールでっかく描いちゃったけど、そのうち、ゾウでもライオンでもないものを作っちゃったりする時がくるかも。それとか、有名人を作っちゃったり。美空ひばりとか。
- F:ちょっと嬉しいかも…
- U:あは、そうですね。だから、頭から否定しちゃうこともあるけど今言ったみたいに「嬉しい」「オモシロイ」とかあるんですよ。そういう技術を手にしたら、それをどのように間違いなく使うか。ひとつの宝物ですからね。
- F:楳図さんの漫画は本当に『先がわかる!』と感じます。
- U:今までのところを振り返ってみる、わりと時代を読み取っているかな?っていうのはありますけどね。『最初の一歩』の方向がまちがってないと、ズルズルと当たっちゃうんです。ですから、やはり『最初の一歩』がどうなのか?という所の直感力はいりますよね。で、その中で発展させて行くと、そのうち現実に起きてしまうという事になるので…
- F:ある意味ちょっとコワイですよね。
- U:いま現実と非現実の区別かつかなくて犯罪がおこるといわれていますが、科学の進歩っていうのは非現実が現実を超えるのが未来の姿。現実に起きてないことを描いてると、現実に近づくこともあるわけです。
目的意識をもたないと破滅する!
F:夏は「恐怖」の取材が増えて来るのではないですか?- U:うーん1999年はノストラダムス効果で忙しかったけど…
- F:ノストラダムス。
- U:あの1999年は何かあった方が良かったかも。
- F:何もなかったですよね。
- U:あれはノストラダムスが言っているけど、どこかで皆期待してたところだと思うんですよ。誰かが仕掛けるとかではなく、何かが起れば先程言ったほうな『目的』というのが見えてきて例えば『復興する』というのが簡単な目的として使いやすいんですよね。だけどなかったから、ケガがなかっただけ病気になっちゃってるような気がして…。すごく情けない事なんだけど、歴史のくり返しって「積んだら壊す。壊したら積む」で大きな志はなくても、それは目的を持ってやってこれた訳で、乗り越えちゃったら、本当の目的を見つけないと、今後の生き方の問題にすごく関わってくるような気はしますよね。もちろん、去年何もなくて良かったとは思いますけど、ある意味そんな危機状態である、というのは間違いないですよね。
精神進化とガングロ論!?
U:生物は進化していくものだから退化してもしかたない。ついにめっけたぞ!と、できなかったことを見つけて、進化しないといけない。その時にどんなふうに進化するか。今はどっちに進化するか土壇場にきているのでは。肉体的ではなく精神進化をしちゃう。本能的な事でひとつ言えることは、人間は美しくなりたいという本能がある。美しくなければいけないので、ブスは抹殺するという…- F:えーっ!!!
- U:ブスの遺伝子は消し去っていこうという流れがあると思うんですよ。芸術とかでもそうですけど
- F:じゃ、じゃあ…タマミちゃんはダメなんですかぁぁ(泣)
- U:(笑)タマミちゃんはダメなんですねー。というか、どのように美しくなっていくか。今ってスゴイお化粧するじゃないですか。誰だか分からない。個性がない。それが美しいって問題とゴチャマゼになっているんですよ。美しさの基準が1つになってしまうことはよくない。
- F:美しさ…ガングロはどうですか?
- U:ガングロですかぁ、あれは、顔(ガン)がグロですよっ!(一同爆笑)不自然ですよね。白って自分が見えちゃう色だから見えないように黒で塗りつぶしているんでは。自己否定ですよね。
- F:なるほど~楳図さんの描く女性はキレイですよね。
- U:一回だけアラタマミチヨさんを参考にしたことがありますが、基本的に誰かを参考にして描いたりはしませんね。キレイな女性をかく時は同じになりがちなので気を付けてます。
- F:サトル(わたしは真悟)のお母さんが、外人さんみたいにキレイですよね。工場にいるのが違和感あるくらい。
- U:なるべくキレイにいきたいんです。生活臭漂いそうなところにいる人が、違う感じだとそのキャラクターにかわいそうだなとか、違う生き方があるだろう、とか思っちゃうじゃないですか。
- F:はい~。彼女が水商売を始めた時は、なんかホッとしました。
- U:ホッとしました?わはは(笑)そういう感情を呼び起こせたらいいなと…例えば、映画で「へび女」の役者を決める時、ヘビ顔な人か、清純な人にやらせるのが面白いか、2つに別れると思うんですよね。僕だったらヘビ顔の人にやってもらいますね。
- F:え?清純かと思った!
- U:ね、そう思うでしょう。清純な人は、清純なところを地でいってヘビなところで演技しないといけないんですね。でも、ヘビな人はヘビな所を思いきり怖くできる。後の怖さが百倍にも出来るんですよ。
- F:ナルホド!!
キャラにはいるところが演劇的
- F:楳図さんはキャラクターに入り込んでお話を作っていくとか。「わたしは真悟」の場合、機械ですよね。
- U:はい。当時は、真悟と平行してモノを考えていたのでなかなか進まなかったですね。おかげであれを描いてから、モノゴトをすごく考えて発言するようになりましたよ。
- F:そういえば劇団ひまわりにいた事があるとか。だから、「入る」と言うのも演劇的なのかも。
- U:入りますよ~。前に「わたしは青空」って芝居をやったんですけど、役者より先に役に入り込んでたみたいです。漫画描いてる状態は芝居やってるのと同じなのかも。ストーリー考えてるときに、キャラには一通り入って。その時、ああ面白かった。って自分で思えばだいたい面白いのができます。それができないと長くもたないんです。
料理の仕事と健康
- U:そうだ料理の仕事がきたんです。
- F:えっ、料理!
- U:そうなんですよ。郵便局の年4回のパンフなんですけど…きっかけは去年、NHKの「男の食材」って番組。はじめは「カブの酢漬けとフレンチトースト」作りました。で、2回目はイタリア風海の幸ピラフを。自分流にするため、お味噌を使った所がミソなんです。
- F:ミソですね!(笑)
- U:カボチャのポタージュとかもやりましたよ。
- F:スゴイ~。わ、私できない…!
- U:レストランの料理を研究してマネしてみたりしてます。えいえい!これだー!って(笑)
- F:味覚が鋭いのですね!
たばこプッチン!!
F:タバコも吸わないんですよね?- U:はい。喫茶店では吸っていない人の所にサササーッと逃げます。大変ですよー。道歩いててもタバコ持って歩いてる人が多いんですもん。もう、ハサミ持って行って、ちょん切ってやろうかな~って思っちゃいますよ(笑)「たばこプッチン!たばこプッチン!」(一同爆笑)
- F:禁煙席を探すのも大変。タバコ健康に良くないですよね~!
- U:健康といえば漫画を休業するキッカケが、道で倒れちゃった事で。
- F:えー!
- U:病院行って検査したんですけど悪い所なくって。でも手は痛いし…いろいろ溜まっちゃったんでしょうね。
- F:そうなんでしょうね…。検査はそれから行ってますか?
- U:無理な事してないから、もう大丈夫。検査はたいしていってないなー
- F:えーっ、だめですよ楳図さんは国家遺産なんですから~!!
2000.6.30 楳図プロダクションにて
プロフィール
楳図かずお(うめず かずお)。1936年9月3日和歌山県高野山に生まれ、奈良県で育った。幼児期から絵を描くことに非凡な才能を示し、小学4年のとき漫画を描き始めた。「洗礼」「漂流教室」「まことちゃん」「私は真悟」等、数々の名作を発表してきた日本漫画界の鬼才。
ヒーロー - 大貫卓也
自分のヒーローってどんな感じ? 強くて、逞しくて、優しい…? ヒーローの姿も人によって様々。大人のヒーローはちょっとドジだったりして共感を覚えるタイプが受けるのかも。そんな現代の大人のヒーロー「ペプシマン」を生んだ、大貫卓也氏に構想や仕事について聞いてみた。
「原宿」な「感じ」のモノ
f-dex(以下F):ラフォーレ原宿の広告でインコや熱帯魚、犬など動物がでていますね。何か意味ありげなのですが。- 大貫(以下O):う~ん、別にないんだけどなぁ…いやぁその…何ていうか「原宿な感じ」というのを出しただけですけどね。カラフルな。その原宿な感じと、あとはアレ、ちっちゃく題名とか書いてたんですよね。えーっと…。はじっこにまずタイトルが入ってて…「TOO MUCH HARAJUKU」って。
- F:原宿にMUCHした?
- O:ちがう、ちがう。行き過ぎな「TOO MUCH」なモノ。そういう「TOO MUCH」な事です。ある種、行き過ぎきってしまったピークな状態の原宿という感じを、たまたま熱帯魚でやったんですけど。息苦しい感じでね。そこにラフォーレとしてエサをやっているというね。

ラフォーレ原宿ポスター’99
- F:では…あの手はラフォーレという事ですか?
- O:う~ん。ラフォーレっていうか、正直言うと僕の場合は意地悪なのが多くて、その場合も「ほぉ~らエサをやるぞ。」っていうような絵ですね。もともと僕はそんなテーマを表現したいとか、そういう人ではないのですが、アレはそういう感じですね。
-

ラフォーレ原宿ポスター’00(原宿駅構内)F:チワワのTシャツがキツめに着せてあったりするのは?
- O:う~ん、パーツで聞かれても答えにくいんですよ。ええと、アレもそんなラフォーレの広告として作っていなくて。写真集を作りたいと思った事がキッカケで。もう100点以上かな?別に犬とか普通のだけじゃなくて、ハムスターからヘビからトカゲからサルから色んなものを山のように、違うモードのいろんなものを網羅したような写真集を作りたいと思って。と、いうのは写真集って売れないと聞いていて、じゃあ世界で売れる写真集を作ろうかなと。そういう写真集を作るようにやっているので、だから、あまりあれは深く広告という感じではないんです。動物のモードの展覧会をラフォーレで開くか、と言っていたんだけど、すごく難しくて。見た目はどうって事ないんですけど。もう、モデル捜すのだけでも、セッティングするのも、全てオリジナルで作ってるし、その上もちろん犬も言うこと聞かないし大変ですね。とにかくモデルがいないし、合わせるのも大変で撮影もうまく行かないし…。それでいいと思ってやっていたんだけど、まったく言う事聞かなくて撮影にならない。あんなうまくいかない仕事はないっていうぐらいなんですよ。
基本は本の世界のミュージアムショップ
F:新潮文庫のYonda?君の事なんですが、普通のパンダなのに、立ち姿が独特で、キューっとする感じがするのですが、あの形にはやはりこだわりが?- O:別にこだわりがあるって言ったら何でもそういうのがある訳で、何て言うかあまりそういう感じ※1で仕事してないんですよ。要するに別にパンダがやりたくてあの仕事をやった訳ではないし。最近たくさんの人が文庫本を読まなくなってきて、それでどうするかと頼まれたので…。
わりとどっちかというとそういう人なんですよ、僕は。もちろんディテールとかデザインとか、そういう事にもうるさいんですけど、どっちかというと、そんな感じなので、だから形とか聞かれても、答えにくいなぁと思って(笑)。 - F:では新潮文庫の全体的なキャンペーンについてパンダを使ったというのは?
-
O:う~ん。言うと長くなって、話が難しいんですよね。実を言うと専門誌っぽい事になっちゃうんですけど…。
要するに簡単に言うと広告で本は売れないんですよ。だって例えば新潮文庫っていう事で人は本を買ってない訳で、どういう本だって事で買ってる訳でしょ?だけど売り上げは落ちてきてしまうので、どうにかしたいという事なんです。
そこで色んな広告はやめて、本をクーポン化したらどうかって提案したんですよ。今クーポンはビールとか色々あるけど、その当時はホントなくて、前例があまりにもなかったので実はストしてたんですよね。要するにそれなりの本読みのプライドみたいなのがある訳で、「私はこれだけ読んだ。」とかあるじゃないですか。そういうのをくすぐる意味も込めて、本を読めばたくさん読んだだけ、読んだ人だけが手に入るしくみを作ろうと思っていたんですよね。ただそれだとクーポンだけだから、新潮社としてあまりにも軽薄ではないかと。それで最初やろうとしたのが、本の世界のミュージアムショップを作ったらどうか思ったのね。たとえば色んな近代美術館にミュージアムショップがあるのと一緒で、ピカソの絵が描いた皿が売っているかもしれないしね。文学の世界も山のように財産があるじゃないかという事で、文学でもそういうミュージアムショップを作ったという設定にすれば、クーポンでもそんなに抵抗感がないんではないかなと思って始めたんですよ。
なので別にパンダがどうだって事はそんな目的は強くなくて、何かパンダは今ウケがいいからという事でそうなってるだけなんですね。もともとはもっと文学系グッズとかをやりたかったんです。例えば「人間失格」というワインがあったりとか色々そういう本の題名だったり…という文学系グッズで作る予定だったんですよ。
新潮社Yondaシリーズ’98~ま、ついつい若い女の子モードで、お客も多くなって、キャラもそうなっちゃったんですけどね。基本は本の世界のミュージアムショップみたいなのを作って本をどんどん読んで行くと、そこのハイブローみたいなのが入って、そうとう読書家のあかしになって行くという。そんなきっかけで本を読みだして、本当に本はおもしろいという風になってきたら、とてもイイ事ですよね。っていう理想的な話なんだけど。それもスグにそんな風にはならないのではないですかという、とても真面目なボディーブローな訳。
本を読むのは中高生のあの世代で、その辺でうまくハマってきて女の子はだんだん読む、とか人によって分かれるんですけど、そこである種つかまえて、そこのミュージアムショップにズルズルっとひっぱっていくという、クセをつけるみたいなそういうコースを狙ってるんですよね。割とそういう狙いにハマってる人も多くて、売り上げが格段に上がって効果が出たという程までは言い切れないんですけど、それをきっかけに本が好きになっていく人は着々と出てきたりしてますよね。
- F:かなりYonda?目当てみたいな人ですけど、周りには結構います。
-
O:うん。きっかけはね、結局何でもいいと思うんだけど、それでそうなっていけばいいので。地道に読書家を増やそうというそういう考えなんです。あとはキャラクターみたいなものを設定して、新潮社としてパンダというのはちょっとガキっぽすぎるかなって、ちょっと悩んだんだけど、そのぐらい分かりやすいのを考えたかった。『読むゾウ』みたいな分かりやすいのを考えたいっていわれて、それで必死に考えてて、イイのがなくて。本当はもっとシブイのにしようと思ってたんですよ。でも最終的にYonda?っていうパンダが分かりやすいと思ってそれにしたんですけど。
あと最近はそうでもないんだけど、売り出し当初はすっごい地味に作ろうって事で、ちょっと抑えてたんですよね。最近は割と、もういいかってファンシー度を増やしつつあるんですけど(笑)。なので結構ストイックな仕事ですね。パンダの仕事って、強いて言うと、露出量が少ないので、本当に本を読む人しか知らない所がちょっともったいないんですけどね。でもやっぱりそのお陰で文庫の中では断トツで。もともと新潮社だったんですけど、明らかな差で伸びてるんですけどね。
始めてからクセになっちゃった
- F:Yonda?のビデオも総指揮をされていらっしゃいますね。
- O:うん。そうだね。それもただの景品だけどね。
- F:一本の映画を作るような…映画監督のような感じですよね。こだわりを持っていらっしゃる※2のでかなり大変だったのでは?
- O:そうだね。たかが景品なのにそういうのもイイんじゃないかなと思って。あそこまで本気でやる予定じゃなかったんだけど、だんだん本気になってきちゃって、あれは1年かかってやってて、キャラも全部、デザイン作るだけで半年かかったからね。
ただ強いて言うとね、もうちょっと自分の好きにやれば良かったかなとも思ってるところもあるんだけど、やっぱり新潮社の広告としてなんで、何だかんだ言っても、自分が好きなの好みとかではなく、これぐらいのテイストがいいんじゃないかとか色々考えてやってるんですよね。
でもビデオってね、なかなか見れないけど、10冊であんなすごい景品はなかなかないと思うんですよ。 - F:そうですよね。本当にすごいです。それに今は2冊で携帯ストラップですし。
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ペプシマンウォッチ’97O:あれも…結構ね。ペプシのコーラの時に、時計を作ったんですけど、だいたいああいう景品っていうのは、Gショックが人気ある、というとGショックに会社のロゴとかマークが入ってたり。大体そういう景品ばっかで、何かそういうのはやだよなって言ってたんです。ちなみにこんな感じで、こういう風に作ったらいくらぐらいかかる?って聞いたら、以外とかかんないんですよ。で、僕はその時計からハマったんです。実を言うと。
その時計の時も全部図面起こして、もちろん中のメーカーの機械も選んで、それに合わせて全部図面書いたんですよ。型からガラスから全部出して。それやって、ほとんど全部何千円かで2万円以上しそうな感じのになるんですね、ちゃんとやれば。
- F:そうなんですか!
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O:要はいろんな商品って、原価とか大してないわけ。結局誰が作って、誰がどういう風にお金使って開発に時間かけたかとか、そういうのだから。それを自分がある程度やっちゃえば、お金かかんない!って、その時に思いがけないぐらい、ちゃんとコントロールできたから、そこから結構ハマってね。それにもともと企業の景品にそんなに真面目にやる人はいなくて、そんなんじゃない所の人に…っていうとちょっと語弊があるけど、お願いしてた訳ですね。子供騙しみたいなね。それで、じゃあそこをむちゃくちゃプロフェッショナルにやってみようかなって思って、始めてからクセになっちゃったんですよ。
そういうのも結局数を作ると、普通の売っている製品とかも、普通の問屋でいろんな間を経るからお金が高くなるけど、そうやって作るとメチャクチャ安くできるのね。仮にパンダのストラップもパッケージから何から全部込みでつくれば、一斉に安くなっちゃう訳ですよね。だから通常は景品にパッケージとかそんなん付けないんだけど、新潮社の場合はあえてそこをやるんだって事でしたね。まぁ結構最近はもう、落ち着いたと言うか飽きちゃったというか(笑)。
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トコトコ缶ヘルパー’00F:ペプシでも新しくトコトコ…やってますが。
- O:う~ん、っていうか、連続して出してて…。これはそんなに短く話が終わらないんですが、ちゃんと効果的に節度をもって、全然飽きないように、ものすごい良いタイミングで、スターウォーズをやった時みたいにポイントを決めて効果的にやりたかったんです…。そこは整理しようと思っているんですけど。
- F:でも、一般の人は欲しくて欲しくて、それで第二弾って事になってるというのは?
- O:う~ん。どうかなぁ~。大体僕はどんな仕事でもやると、長くてなかなか切れないんですよね(笑)。まぁそれは良い事なのかもしれないけど、やってる方は結構大変で、いつも僕の作業って「ここではこういう風にしよう。」って言うと、そこを鮮度を保ってキープしなきゃいけない作業が多くて、気分を変えてスカッと違うのやりたくなるけども、そういう長い付き合いが多くてね、それを生かして長くやっていくという作業なんです。それに必ずしも自分の思ったようにやっている訳では全然なかったり、その辺難しいですよね。
- F:まだまだ自分の中では違う形にしたいと?
- O:っていうか、僕は結果出すためにしかやってないので、ある種目的があって、その目的に向って、それを解決する方法としてどれをやろうってやってるだけなんです。別に景品やってても最初は単に景品がついておまけっていう意識は僕にはなかったんですよ。
例えばスターウォーズのボトルキャップをやった時は、もうあれは強力なイメージ広告だと思ってたから、おまけだけど、あれによってペプシのスケール感だとかメジャー感とか色んなイメージがものすごい上がったんですね。 - F:ペプシの広告はどういう流れで?
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O:ペプシマンも結構長いですね。当時アメリカですごく評判の高かったペプシのコマーシャルのを持ってきて、やったんだけども売り上げに結びつかない。じゃあって事で、その人気のあるペプシのコマーシャルの完全な世界観はキープしつつ、売れるような広告を作ろうって、ペプシマンを開発したんですね。前はペプシコーラジャパンだったのが、今はサントリーさんになって、いっぱいいろんな所に置かれて、さぁ勝負だ!って。

SOUND BIG BOTTLE CAP’99こういう業界は、CMの効果がどう上がったとか割と調査とかやるんですけど、それでものすごいスコアが高いんですよね。毎回ペプシの広告は。ものすごい人気がでて、めちゃくちゃ炸裂したんです。それで、飲みたい、というすごい高い数値が出て。なのに、1回買ったら、もう売れないんですよね。まぁ日本では、世の中がコーラを飲みたいっていう時代ではないから、もともとすごく難しいんですけど。
僕はわりとそういう商品が多いんですね。今ものすごく人気商品というのを担当する機会が少ないんです。今お茶だったら、みんなお茶の仕事をしてるとか、そういう仕事ではなくて結構ヘビーな…今はみんな本を読まないとか。そういう仕事が多くって、コーラもやっぱりそうでね、その中である種、コカ・コーラっていうの潜在威力のものすごい、販売力の増大な比べものにならない敵との差とか、それをいくらそこまでの効果があるだろうと思われてるCMをやったところで、それは当然スグには答えは出ないと思っていました。やっても変わるわけないじゃんって思ってた。最初はパッと変わったけども、2回めからはそう簡単には変わらないみたいな。
それで僕は正直、広告のやる事もモノによっては限界を感じてね。その中のギャップとか出てきたんですね。そういう状況からでてきたのがボトルキャップなんです。
ボトルキャップとペプシマンの秘密!?
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O:で、ボトルキャップというのは何かと言うと、結局は飲ませる事以上に強い広告はないって事でやってるんです。要するにどんなイメージがあって、誰が出てきてカッコ良かろうが、そんな事してるよりも、「これ、ペプシコーラだ」という事に対して、四方を突き破れないんですよ。それをもう『飲ませる』っていう事をちょっと考えてる訳ですよね。サンプリングっていうやつなんです、ある種の。
何度も何度も経験すると、自分の中でオッケーで、自分の中の範疇に入る商品なんですよ。もう慣れてね。ペプシは特殊で必要ないっていうんじゃなくて、時々飲むっていう経験値を上げていって。
調査の結果で経験値っていうのは回数を上げていくとおいしくなるらしいんですけど、慣れだったりするんですよね。で、コカ・コーラの味に慣れてると、こっちがダメで、こっちが慣れてると向こうがダメで…っていう事が、あるんです。
そう言う訳で、単におまけを付けているっていうんでなくて、理論的にはそういう長期的な、ホントのプロローグっていうのかな。商品をスタート地点に立たせる事を意識して始めてました。今は、立ってるとは思うんですけどね。そういう意味での広告なんです。 - F:ペプシマン自体がペプシを表しているのですよね?
- O:うん。要は人気あるコマーシャルを作ってもダメだと思ったんですよ。CMに人気があるっていうのはダメで、ペプシコーラ自体が人気者にならなくちゃダメだなっていう風に考えて。主役をペプシコーラに考えて、商品をキャラクターにしたんです。
- F:汗がカンにつく水滴だったりというお話ですよね。
-
O:そうです。当初プレゼンの時に「みなさんはペプシコーラを考えないでください。ペプシマンを人気者にする事だけを考えてください。」という事でやったんです。ペプシマンっていうのはペプシコーラでイコールであって、すごくおいしそうな感じとか、スカッとする感じとか、色んなものを表現したい所は全部ペプシマンのキャラが全部出します。水滴がついて冷えた感じとか、ちょっと少しおしゃれな感じで「このチェーンをしてるんですね。」とか、「ちょっと黒人っぽいんですね。」とか言って(笑)。
要するに全部入れていて、ペプシマンが出てくれば言いたい事は全部言えているというような、そういう方式にして、あとはこのキャラを人気者にすればいいっていうだけなんです。だからシズル感※3出す為に、顔もなにもないんですよね、缶のようで。最近ではバカタレなCMが多いんですけど、当初のあの頃はすごいハイパーな技術を使ったバカタレっていうのはなくて、CGとかお金かけたハリウッドのすごいので、おバカでオナラするぐらいなレベルの事をしようかなっていうのを考えたんですけどね。
すごく影響をおよぼしてるのは…
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大貫卓也氏の仕事

日清カップヌードル ポスター’92

ラフォーレ原宿ポスター’98

サントリーCCレモンシンプソンズキャンペーン’00 - F:大貫さんの「ヒーロー」というと、小さい頃に「狼少年ケン」のシールをあつめていたというのは知っているんですけど。
- O:な、なんで知ってるんですか?う~ん。えっとねぇ…。う~ん。スカッと答えられないなぁ。……。(かなり長い沈黙)。ん~怪獣とか、あと図鑑かな。
- F:図鑑!?
- O:うん。図鑑少年だったから。
- F:骨が好きだったからですか?※4
- O:えぇ。骨とかかなり好きでしたね。
- F:図鑑がヒーロー!?
- O:図鑑っていうか…う~ん、ヒーローねぇ。
- F:そんなにでは怪獣とか好きではなかったのですか?
- O:いや好きですよ。
- F:シーボーズとか?
- O:う~ん、シーボーズとかはそうでもなかったけど…あぁ、そういう意味では…でもムリヤリヒーローっていのもイヤらしいなぁ。成田亨がなんとかっていうのもなぁ
- F:あぁ~すみません、無理にはいいですぅ…成田亨さん?
- O:もうアレは相当すごいと思います。ウルトラ怪獣の初期のとか作った人とか。あの辺はもう…アメリカとかに比べると、日本はいきなり成田亨から、アートでぶちこわれたので始まったから、何かめちゃくちゃなんですね、日本人のああいう感じの。あの辺のウルトラ怪獣とかは相当すごかったですね。
- F:ウルトラマンと怪獣ではどっちが好きだったんですか?
- O:それは怪獣でしょうね。
- F:怪獣の方が?
- O:うん、だって僕はウルトラQから見てる人だから。そういう意味ですごいショックだったというのはありますよね。「猿の惑星」なんかも同じようなタイミングだったけど、そこら辺もすごかったし。あとは何だろうな…。
- F:なんとなく普通とは違うような。
- O:ほら、僕はやっぱりマニアックなのが好きだったから、みんなが好きっていうのはちょっとイヤだなっていう、そういう人だったんですよね。それだったら悪役の方が好きとかね。そうね、あとは…う~ん、だってさぁ、いっぱいあるじゃん、子供の頃はさぁ、「狼少年ケン」もそうだし「鉄人28号」もそうだし、みんなそうですけどね。でも、やっぱ今の俺にすごく影響をおよぼしてるのはやっぱ「ウルトラシリーズ」かもしれないねぇ(笑)。そんな気もちょっとしないでもないかな。
- F:本日は本当にお忙しい中、どうもありがとうございました!!
2000.9.14 大貫デザインにて
プロフィール
大貫 卓也(おおぬき たくや)
アートディレクター。「プール冷えてます」「史上最低の遊園地」「サンタフェの扉がやってきた!!」など、ポスターの前で笑った人続出のとしまえん。「hungry?」の日清カップヌードル。nudeでビックリ、最新作インコやチワワが意味深「ラフォーレ原宿」。本を読む人をワクワクさせた新潮文庫、パンダの「yonda?」。そして、スーパー魅力的ヒーロー、ペプシの「ペプシマン」などの新しく刺激的で心を掴む表現をつくりだしてきた。ADC最高賞や、毎日広告デザイン賞最高賞など受賞作多数。
「今月の広告」 豊島園ポスター’86
本当のお風呂屋さんを借りた。専門の絵書きさんに頼んだら、「オレは富士山と松しか描けない」って言われて結局、フライングパイレーツはハシゴにのぼって自分で描いた。「記念にこのまま置いときます」って言ってたけど、あの北千住のお風呂屋さん、どうなったかなぁ。(マドラ出版「大貫達也全仕事」より)
scoop! あの広告は今…?
O:ん?コレ何?まだ残ってるんですか?すごいですねぇ。- F:はい。もう2年前に営業は終了しているんですが、問い合わせをしてみたらまだ残っているというので行ってきました!
- O:へぇ~変わった事しますねぇ。そうとう大昔のネタで(笑)
大貫さんの思い出 森本美由紀
もう何年も前、mc.sisterの読者のページにタマちゃんという落書きのような漫画を毎月描かせてもらっていました。確か大貫さんはそれを見て電話をくれました。タマちゃんが好きだとかおっしゃっていました。それから豊島園のお仕事何回かご一緒しました。大貫さんは、とても仕事熱心で頭の良さそうな笑顔の可愛い方でした。
ある日「ペンギンを描いてくれない?」と依頼があり、詳しい内容も解からず、かなり沢山描いて持っていったら「これはイラストレーターの絵なんだよな。こんなんじゃないんだよ。」私はイラストレーターなので訳がわからなかったですが、悩んでいらっしゃるようでしたので、もう少しその場で会社のデスクを借りて描いてみることにしました。
お話を聞いてみると「お店の絵の下手なおばちゃんなんかが一生懸命描いたような絵がいい。」と大貫さん。「そ、そんなんなら近所のおばちゃんに頼めばいいのに~」と思いました。少しばかりのプライドがズタズタですが、確か徹夜して描いた憶えがあります。何気に励ましのようにかけてくださる言葉も「僕有名じゃない人好きなんだ。」とか「お願いっ!だってちゃんとした人には頼めないから。」とか、こちらの気持には遠慮なしの発言ばかりで…。その頃の私はめったなことで驚いたり怒ったりしない、ある意味のんきな若者でしたから静かに作業を続けました。
困ってなんとなく浮き輪を腰につけたペンギンを描いて「これは?」と大貫氏に見せると「うっわー下品だなー!」「ハトヤってセンスだこりゃー」…なんかヒドイ言われよう。おまけにじーっと考え込んだ挙句「うんこれでいいんだ!そうだ!プライドだとか美意識なんてモン捨てればいいんだ」って。何かにとりつかれているようでした。きっと新しい局面に立っていたのでしょう。私もイラストレーターとしてのプライドを捨て彼のアイデアに沿うような絵を描いたと言うことですが、彼のアイデアがまずあってこそのものだったので、他で頼まれてもこのようには行きません。
その後お仕事ご一緒したことはありませんが、今思い出すと、大貫さんの仕事への熱心さにはとても動かされた記憶が蘇ります。
森本美由紀 (もりもと みゆき)
イラストレーター。groovy book review(B.I.PRESS)、PIZZICATO FIVEジャケット他、雑誌、CMなどで活躍中。
はじまり - 伊藤桂司
世紀末+年末が重なるmiracleな2000年末。
見た事もない未確認新年がやってきそうな予感がしませんか?
そう、何かあたらしくはじまる感じ。「末」がクローズアップされるこの季節、「はじまり」を振り返ったり想像したりしてみたい。
いつもフレッシュで不思議な世界を見せてくれる、伊藤桂司さんの「はじまり」って何だろう?
UFGについて

- F:まずはUFG(Unidentified Flying Graphics)についてお伺いしたいのですが、「未確認」「正体不明」という…やはりUFOに近いイメージになるんでしょうか?
- I:そうですね。未確認飛行グラフィックというバカな…(笑)UFOの一字違いだから覚えやすいかなと思ったんですけど、みんな全然覚えてくれないんですよ。たまに「プロレス団体ですか?」って言われちゃうし(笑)。
- F:最近の代表的なお仕事は?
- I:キリンジのアルバム「3」と、Maxi Single「グッデイ・グッバイ」「君の胸に抱かれたい」「エイリアンズ」 のジャケットと、野宮真貴「miss maki nomiya sings」、宇多田ヒカル「FLY ME TO THE MOON」、キリンジ「君の胸に抱かれたい」のプロモーションビデオ、福岡ユタカさんのジャケットデザインなどです。あとは「ダイヤモンド展」のポスターかな。「ダイヤモンド展」ポスターは、アートディレクションが奥村靫正さん、デザインが松下計さんです。
- F:それは全てUFGとしてのお仕事なのですか?
- I:その仕事によって違いますね。アートディレクションとデザインの時はUFGで、イラストレーションは伊藤桂司、という感じでやっています。
「HAAS&CAGE」について
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HAAS&CAGE
ミュージシャン高野寛さんとアーティスト伊藤桂司さんによる、ビジュアル・コラボレーションと往復書簡で構成されるサイト。文章の内容も面白いが、写真等の素材から生まれてる作品が掲載されているのが凄い。必見!※網膜が関係する話が、手塚治虫ブラックジャック「第167話 春一番」にあるらしいと言う話が、ページで盛り上がっていた。
- F:ミュージシャンの高野寛さんとの「HAAS&CAGE」というページについてですが、更新の頻度がすごいですよね。
- I:そうですね。1週間に1回の割合で更新していて、もう2年程続けているので、そろそろ100回を超えるんです。
- F:このページがスタートしたきっかけは何だったのですか?
- I:知り合ったきっかけは、ステージの美術を担当して以来、彼の「ベステンダンク」のシングルのジャケットでイラストを描いたり、彼が、僕が描いた絵と同じ夢を見たと言って、電話をかけてきてくれて、始めてお会いしたんです。
- F:長いおつきあいだということですね
- I:そうですね、対談したり。(下記参照)
- F:夢と言えば「HAAS&CAGE」で話題になっていましたが、伊藤さんはよく不思議な夢を見られるそうですが?
- I:どんな夢があったかな?
- F:”網膜”の夢はすごかったです!
- I:あ、そうそう。あの夢はすごかった。昔、“殺人事件が起きて、現場検証をしている名刑事(オレ)が、なんと、被害者の網膜に焼き付いた最期の画像から、犯人を割り出す。そして見事に事件解決。” っていう夢を見たことがあるんです。後から過去のマンガ※で同じ話があったって聞いたんですけど、全然知らなかったし。
- F:まさに伊藤刑事(伊藤桂司)!
- I:そう!名刑事!(笑)
- F:あとこれも「HAAS&CAGE」で書かれていたことですが、昔Yellowまで自転車で行かれた事があるそうですね?
- I:えっ!?もう忘れてましたよ。そうそう、行きましたよ団体で。
- F:チャリンコ軍団!?
- I:4台連なって、全員無言で(笑)
- F:結構距離ありますよね。
- I:もうヘトヘトでしたよ~。でも自転車は結構好きな方でよく乗ってるんです。慣れちゃえば楽だしね。COGGYという自転車で、もう10年ぐらい乗ってます。タイヤがすり減ってたりしてるんですけど。
もっと「はじまり」

POWER OF TOWER
はじまりは「夢」から。
ミュージシャン高野寛さんとは、単行本(エッセイ「いつのまにか晴れ」(ソニー・マガジンズ)で対談。
「HAAS&CAGE」vol.0で高野さんは目の前にあった山弦(ギタリスト佐橋佳幸さんと小倉博和さんのデュオ)の、アルバム「JOY RIDE」を見ていて『このアルバム、中身もさることながらジャケットが大好きなのだ。このジャケットのコラージュを担当している伊藤桂司さんと、ビジュアル作品のコラボレートをしながら、メールのやりとりをするのはどうだろうか。』と思いつきひらめく。
高野さんは、写真を撮ったりコラージュの作品を作りして、ホームページや、ツアーパンフなどで発表している。その感覚を生かした魅力的なコラージュ作りや、素材提供(これらがやりとりされて、新しい作品が生まれていく)をしている。話の中には、不思議な体験なども紹介されている。ある回では、高野さんの友人でもある谷崎テトラさんが、伊藤さんの個展の時“POWER OF TOWER”という作品を見るなり、「これアマゾンで見たUFOと同じですよ。夥しい数の光りがこうやってうごめいていたんですよ。」と言ったそう。それが右の作品なのだった。
そういった不思議な話以外にも、日常の事など楽しいやり取りがかわされている。
プロモーションビデオを楽しもう!
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キリンジ「君の胸に抱かれたい」
Direction and Artwork 伊藤桂司
Edit 阪本親則、菊池久志(ケネックジャパン) - I:キリンジはこの曲を含め、今までのクリップを集めた、DVDとビデオがでるんです。キリンジの口だけ動く画像は砧公園で二人、別々に口だけとってあわせているんですよ。初めて、PVのフィルムディレクションを手掛けました。フレームという機械を使って創り、実写とコラージュが 混ざったような作品になりました。
- F:幸せ感が満載ですね。あっ、かわいい!かわいい!!
- I:サビはインコが歌ってるんです。
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宇多田ヒカル「FLY ME TO THE MOON」
制作 バタフライ・ストローク
AD+CD+PI 青木克憲
Dir 谷田一郎
IL 伊藤桂司
Pr 臼井悟史・川村正 - I:これは東泉さんとつくったモータウェイのモノクロバージョンなんです。この後に宇多田ヒカルのPVを作っているのですが、それは「MOTORWAY」のカラーバージョンです。去年、九州でスカイラブのイベントがあったので、その時にあわせてつくりました。東泉さんがディレクションしてくれて、音楽は昔、うちでアシスタントしていた佐々木君です。なんとなくプリンスに似てるので「ぷりんす」って呼ばれてます。いい音楽をつくるんですよね。
- F:これは展示会のみで流れたんですか?
- I:いえ、ほかにロッテルダム映画祭などのイベントで流れたんですよ。
- I:REMIXの発売を記念して、青木さん、谷田君と一緒につくったんです。
- F:(見とれて)画集がそのまま動いているようです!
- I:そのまま使ったのもあるけど、平面で側面などを描きおこしたものもあります。
- ※RESFEST2000日本ツアー、原宿11/24~26と大阪12/2.3で上映される。
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野宮真貴「miss maki nomiya sings」
Direction デイヴィッド・デュヴァル・スミス、伊藤桂司
Edit 阪本親則(ケネックジャパン) - I:デザインユニット「生意気」のデイヴィッドとやりました。
- F:うわ~キレイ!こ、これは、ビデオコラージュというか紙ではできない表現ですよね…!
- I:キーワードがマイアミ、ディスコ、リゾート。元の素材は映像ではなく、すべて平面を使用しているんです。
MOTORWAYって?


- I:「MOTORWAY」はSKYLAB LABEL認定第一弾として完成した僕の作品集です。タイトル通り、高速道路をモチーフにしています。
- F:スピード感、構想などはどのように?
- I:あの時期はちょうど、日本や海外で気持ちの良いハイウェイを走る機会が重なって、無意識の内にたくさん写真を撮っていたんです。それが、ある時それまでの自分の中に蓄積されてきた情報量が溢れだして、臨界値を越えちゃったという感じかな。その瞬間、きらっと閃くんです。
- F:イラストの感じが以前と比べて、とてもスッキリしたように感じるのですが…?
- I:やっていくうちに、削ぎ落とすべき所が分かってくるようになったんです。常に俯瞰して批評的な目で見てると、自分に必要ない部分が見えてくるんですよね。やはり、自分で自分の作品を編集する視点がないと、私的な一つの世界に埋没してしまうので、常にスタンスをとるように心掛けています。それの繰り返しですよね。
※SKYLAB LABEL…もっと自由にものを作りたい、そうした願いを実現すべく 伊藤桂司、東泉一郎、ヒロ杉山、吉田秀道、 北川大輔により結成されたブックレーベル。
ビジュアル専門書店「プロジェット」

デザイン、写真、建築、アートに携わるクリエイター向けの書店「プロジェット」。スカイラブレーベルとは深い交流をもち、メンバーからはホームグラウンドとされている。書店オープン記念イベントではスカイラブレーベルのメンバーによる『お茶会』が開かれた。
この『お茶会』、スカイラブの他にも奥村靫正さん、青木克憲さん、中沢新一さん、など数々のゲストを招いている。普段会えないクリエイターと、お茶を飲みながら身近に話すことができるのが魅力だ。その他、店内ギャラリーとして展示ボードで、グラフや、大森克己さん、高田理香さん、半沢克夫さん、五木田智央さん、アポロ(土屋尚武さん・ウメキマキコさん)などクリエイターの展示を行ったり、ライブパフォーマンス、ポエトリー・リーディングなど、様々なイベントも行っている。まさにクリエイターにとって不可欠な、あらゆる情報を収集・発信している刺激的拠点なのだ。
書籍の他、ポスター、Tシャツ、DVDなど最良の物を独自にセレクト。随時チェックしたい。
PROGETTO http://www.progetto.co.jp/
テーマ「はじめて(はじまり)」について
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『NINIFUNI/ 二而不二』(光琳社出版)
2冊目のイラスト集。まさに「これ、夢で見た!」という情景が広がる。 - F:伊藤さんにとって「はじめて」というとどんなことがありますか?
- I:知らないうちにキャリアがついてるじゃないですか。今、そこをリセットしたい感じはありますね。今までのことをやりとげて満足したっていうのではなくて。はじめて=「未知」というとその通りで瞬間瞬間、いつもはじめてということになるよね。気になることとか人とか自然に、同時代の呼吸をして、取り入れたいと思うんです。物理的なキッカケというと本や個展になるんですが。
- F:キャリアの「はじめて」についてなのですが、どこからということになりますか?
- I:すごい偶然と言うか…友達と、フィルムつくったりしてたんですね。それを古本屋で見つけた、ある編集部に見せに行ったんです。『Jam(エルシー企画)』っていうアンダーグラウンドマガジンだったんですよ。その時、たまたま行けなくて他の人が見せに行ってくれたんですが、「これつくったヤツ連れてこい」って。それで作品を持っていったんです。その雑誌が後で、「heaven」(エルシー企画後に、アリス出版と合併)ていうのになったんですが、そこの編集長の佐内順一郎さん(現在、高杉弾氏)が、ピックアップしてくれたんです。そこからですね。スタートが。それから、湯村輝彦さんとか羽良多平吉さん、杉浦茂さんなどビッグな方々と続けて会えたりして、精神的にも高揚する時期が続きました。ほんとうに、いいスタートだったな、と思いますよ。
- F:絵はずーっ描いてらっしゃるのですか?
- I:そうですね、小さい時から。ずーっと。
- F:イラストレーターを意識して?

- I:うーん、当時イラストレーターって言葉は、そんなに知らなくて。高校生の時かな、ジャケットぐらいにはイラストレーションっていう名前を見るようになって…ロジャー・ディーンとかヒプノシス、日本では、横尾さんとか湯村さんとか河村さんなどの仕事をみて「わぁ、すごいな」と。8つぐらい上の従兄が、ちょうどグラフィックデザインをやってたんですね。で、イラストってことを教えてくれたんです。例えば、「イラスト」と「絵」の違いとか。
- F:絵を職業とする以外に、他になろうとしたものは、なにかありましたか?
- I:うーん、ないなぁ。
- F:学生の時のクラブ活動って何を?テニス部とかやっていらしたのでは?
- I:ないないない(笑)スポーツとかは遊び程度で、ほんとずっと絵をやってましたよ。美術部でしたし。あとは時間があると中古レコード屋さんや古本屋さんにいってました。今と全然かわってないです。
- F:ミュージシャンなどに興味は。
- I:音楽もすごく好きだったんですけど「練習」ってのがダメで。楽器は練習しないといけないじゃないですか!弾きたいと思った頃に聞いた音楽はプログレとか難しいものが全盛の時で、弾く気にならないっていうぐらい凄くて…音楽でやりたいことを絵にしてきた感じですね。
- F:筆が楽器だ!みたいな感じですか!?
- I:カッコい~!(笑)…でも、そう言えるかな。
- F:小さい時はどんなものを…身近なものを描いていたのですか?
- I:普通の、鉄人28号とかアトムとか。そういうマンガ描いたりするのが多かったですね。あ!高校生の時に先生達の似顔絵を描いて教室の後ろにクギ刺して貼ってました。あとで、すごい怖い先生に呼ばれて、「殴られるかなー」とかドキドキしてたら「俺も描いてくれ!」って写真をくれて。
- F:わー、それは初めての依頼ですね!
- I:あ、そうですね。その頃のほうがデッサン力があったかも(笑)なんか、すごい懐かしい感じ。甘酸っぱいというか。
SKYLABレーベルの近況について
- I:今度3人(伊藤桂司氏、ヒロ杉山氏、東泉一郎氏)で各400ページぐらいの分厚い本を出すんです。僕の場合は、メモ、ラフ、写真などの他、インスパイアされたものや新作を並列に並べて、脳の中にある分裂したイメージの断片を集めた、脳の断面図のようなものを作ろうと思っているんです。
- F:ラフな絵というのは、「HAAS&CAGE」でお話されていた『電話しながら描いているような絵』ですか?
- I:まさにそんな感じ!全然意識していない、記憶がないような絵。
- F:とても楽しみにしています!ありがとうございました!
2000.11 UFGにて
プロフィール
伊藤桂司(いとう けいじ) 。1958年東京生まれ。UFG(Unidentified Flying Graghics)INC.代表。広告、書籍、音楽関係のアートディレクション、グラフィックワーク、映像等を中心に幅広く活動する。
音 - 安斎肇
今回は「音」がテーマ。
耳に入ってくる様々な音。楽しい音や困った音、危険な音、ウキウキする音など色々。
ソラミミスト安斎肇氏の生活は、どんな音に囲まれているのだろうか…?
絵が上手いとモテる…!
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- F:絵を描きはじめたきっかけは?
- A:他にやるものがなかったからかな(笑)。子供の頃は体が弱くて、家でずっと絵を描いていたんです…ダダダダ、バキューンとか言って西部劇とかの絵。あとは小学校を卒業する頃サイン帳をまわすのが流行ったんですよ。みんなそれぞれ工夫して芸能人みたいなサイン書いちゃったりとかして。僕はその時なぜか「おそ松くん」の”ハタ坊”とか”ケムンパス”を描いたんです。小学校を卒業する事を人生の凄いイベントだ!って意識して、ものすごく一生懸命に…。そしたらそれを当時好きだった子に上手いって誉められてね。そうやって自分が絵を描く事によって、誰かが喜んでくれたり誉められたりするなんてスゴイな~って思ったんです。それからの年賀状は気合い入りましたよぉ!好きな子順にデキのいいの送ったりして。
- F:それでずっと絵を描き続けるようになったんですか?
- A:年賀状は描きましたけど、他はそうでもないですね。そんなだから高校に入って将来を考えた時に、社会に自分が出ていくという事が考えられなくて、感覚だけで生きていけるような世界があるといいなって思ってて…。そんな時に昔絵を誉められた事を思い出して、この道に進もうかなと思ったんです。お茶の水美術学院とか近所の絵の教室にデッサンを習いにいったり…あっ、そういえば、そこに9浪か6浪してる人がいたんですけど、すんげー上手いんですよ。そりゃそうですよね、3つか4つの石膏象を6年描いるわけですから。もう、何でこの人が落ちるんだろう?ダメじゃん日本の美術界は!と思っちゃいましたよ!その人チョット変わっていて、木炭デッサンの1枚の絵を4ヶ月くらいかけて描いてるんです。
- F:そんなに時間かかるんですか
- A:かかんないですよ(笑)!それでもう、すっごくて石膏の絵とは思えないくらい。バックなんかかいてあるんですよ!!教室の棚とか、それも焦点が石膏にあって後ろはボケた感じになってたり!メチャメチャうまくて。みんながウマイウマイっていうのがうれしかったみたいでいっつも、トコトン描いてましたね。一生懸命ですごいイイ人なんですよ。背が小さくて髪が長くて貧乏で、お風呂もなかったから、い~いニオイがしてましたね。その時とにかく不思議だったのは、その人に彼女がいなかったことで。
- F:え、いかにも、いなさそうじゃないですか(←失礼な!)

- A:なんでこんなに上手いのにって!『絵が上手いとモテる』って思ってたけど、それはもう、つい最近崩れましたね(笑)。前から、みうらじゅんと「何でオレ達はバンドみたいに、原稿渡してキャ~って言われないんだろう?」って話してて「ツアーをすればいいんじゃないか」って思い付いたんです。それで10年ぐらい前に『ローリングライターレビュー』っていうのを4人で(みうらじゅん氏、えのきどいちろう氏、カーツさとう氏)やったんです。皆で、肩から画板をギターみたいに下げて、公園とか路上で、絵や文章をガァーっと描いて、まわりを取り囲んでる人達に描いたやつを見せてから、それをクシャクシャっと丸めて投げるんです。そうするとみんな「キャァ~!!」って取るんですよ~!!
- F:カッコいい~!(爆笑)
- A:すごい楽しくって、大阪・名古屋・東京と3箇所でやりました。東京の宮下公園でやった時には200人ぐらい来て凄かったですよ。しかもライブ終わって、画板下げつつ公園通りをあがっていくと後ろからみんな追っかけてくるんです、ま、楽屋もないんでそりゃそうなんですが。その時の事が週刊誌に写真入りで掲載されたんですけど、もう…その写真がカッコイイんですよ~。
- F:絵で歓声をあびるなんて凄い!

- A:でしょう~!あと、その頃に「俺達はなぜYMOになれないんだ?」って言った写植屋さんがいたんです。「俺の文字ヅメを見てキャ~!とか、改行するたびにキャ~!って言ってくれないかなぁ~」って。それでよく考えてみたんですけど、モニターに向ってキーボードをたたいているその姿は、坂本龍一とどこも変わらないじゃないか!って思ったんです。その作業は自分1人にしか見えてないだけで、武道館みたいな会場でオーロラビジョンぐらい大きいモニターに映し出して、文字が、カンカンカンって文字詰めされて1行になっちゃうんです!そしたら「うぉー、すげーツメっぷり!」って大歓声が起こったり、それに写植機の音もインダストリアルだし。写植機の文字盤が動く時のカシャーン、カーンって小さ~い音も全部マイクで拾って会場に流したりしたら…そりゃぁもう皆はヘッドバンキングでしょう!ってその人に勧めたんですけどね(笑)でも今は、Macのほうが凄いですからね、ツメっぷりも動かしっぷりも。
間抜けさが大事
- F:グラフィックデザインもされてますが…

- A:「イラストやってるんだ」っていうと何かカッコ悪いような気がしません?イラストレーションだとカッコよく聞こえるんですけど。どうも「いらすと」ってひらがなに見えてしょうがないんですよね「イラ」がいけないのか「スト」がいけないのか(笑)でも!デザインは4文字でもカッコいいじゃないですか。オマケにグラフィックなんてついたらたまんないですよ!それと、単純に横尾忠則さんとか憧れましたね…デザインていうキーワードで、チッポケな俺が世界相手に出ていけるかも!?なんて誤解するじゃないですか。青
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